「とざい とうざい。 かるわざしの そうべえ。 いっせいちだいの かるわざでござあい」――絵本作家・田島征彦(ゆきひこ)さん(78)が描く、軽業師のそうべえが仲間たちと地獄や極楽、宇宙や地中を面白おかしく旅する物語「そうべえ」シリーズが始まって40年。先月、6作目となる新作『そうべえときじむなー』(童心社)を上梓。現在、京都市中京区のギャラリーヒルゲートで、原画と型染展が開催中。9日には、40年を記念した講演会も予定されています。

■新作『そうべえときじむなー』

 新作は、気球に乗って南の国へ行こうとしたそうべえたちですが、燃やすものがなくなり、きじむなーが危機一髪を助けます。

 田島さんは、京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)工芸科で染織を学び、布や紙を使った型染めによる絵本を制作してきました。そうべえシリーズ1作目は「じごくのそうべえ」。落語の「地獄八景亡者戯」をヒントに1978年に出版。落語家の故・桂米朝が一文を寄せています。絵本だけでなく、紙芝居になり、劇団が演じたほか、原画は舞台の大道具としても使われています。

 田島さんは、沖縄の小妖怪・きじむなーと少年の物語や沖縄戦をテーマにした絵本をはじめ、障害を持つ子どもたちに心を寄せた温かな物語、祇園祭などを題材に制作してきました。40年のつきあいになるヒルゲートの人見ジュン子さんは「沖縄へ10年通って取材したり、障害を持つ人に心寄せる姿には熱い心を感じます。きれいな染織の色と楽しい絵で、戦争や差別などの難問をユーモアに包んで表現する力はすごい。ますますお元気で、創作意欲が途切れないことも素晴らしい」と話しています。

 ◆田島征彦講演会 9日(土)午後6時半、ヒルゲート。「じごくのそうべえの誕生からを語る」。参加費1000円(学生500円)。定員40人、要予約。17日(日)午後2時、だん王保育園☎075・771・7051。「絵本で伝えたいこと」。
 原画と型染展は17日まで。12時~19時(最終日は17時)。ギャラリーヒルゲート☎075・231・3702。

(写真=新作『そうべえときじむなー』の表紙)