日本共産党の長岡京市議団長の小原明大(おはらあきひろ)さん(40)が、昨年の同市議会12月定例会一般質問で、自らもLGBT(=エル・ジー・ビー・ティー=性的マイノリティー、注)の一人であると公表し、性的マイノリティーの人々が暮らしやすい社会になるよう同市に施策充実を求めました。質問後、当事者などから歓迎の声が寄せられています。

■「私も、そのうちの一人です」

 小原さんは、質問の中でLGBTや誰もが持っている「性的指向と性自認(=SOGI(ソジ)、注)」について解説し、こうのべました。「LGBTは、自ら選んでなるというものでもなく、やめたり、『治したり』もできません。親の育て方によるものでもなく、ただ本人がそうであることに気づくだけです。私も、そのうちの一人です」

 そして、同市の全小中学生へのSOGIに関する学びの保障、保護者の理解促進、教員研修の保障、市役所の相談セクション設置や職員研修・議論、同性カップルの関係を公的機関が認める同性パートナーシップ制度創設―などを求めました。

 質問後、複数の知人から「自分も性的マイノリティー。言ってくれてめちゃめちゃうれしい」などの感想が寄せられたほか、性別適合手術を受けた人から連絡を受け、社会の現状への思いなどを直接会って聞くことができました。改めて当事者それぞれに違った思いがあり、一人ひとりの声を真摯(しんし)に聞き、問題解決に向けて行動する責任を感じたといいます。

 同性に好意を感じ始めたのは中学生のときです。しかし、社会は異性愛が当たり前とされているため、その気持ちについて深く考えたり、口にすることもありませんでした。

 自分がゲイであると「ちゃんと」認識できたのは、大学生のとき。「男らしさ」「女らしさ」など社会的性(=ジェンダー)について研究するゼミで、LGBT団体と出会い、当事者の話を直接聞いた際、「自分もこっち側だ」とやっと認識できました。

■学校教育の重要性指摘

 小原さんは言います。「だから、小中学校での教育はすごく大事。LGBTの子は、自分ひとりだけが周りと違うと思って誰にも相談できない。周りも知識がないゆえに無神経にからかったりしてしまう。不登校や自死の背景にもある」

 小原さんは大学卒業後、長岡京市役所勤務を経て2005年に28歳で市会議員に立候補し、当選。議員としての日々の活動の中では、LGBTなどまったく無縁で意識する機会もなく、「もうひとつの自分に向き合うことができなかった」。パートナーが欲しいという自然な感情からも「逃げてました」。

 しかし、当事者の運動や社会的関心の高まりから、SNSなどでLGBTに関するさまざまな動きや情報が流れてくるなか、文部科学省が2015年4月、「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」を通知したのを知って同年、6月定例議会の一般質問で通知の徹底を求めました。

 自らも当事者でありながらそれを言わずに質問するのは、他人事のようで申し訳なく、「どう思われるか」と強く緊張しました。

■党の仲間の奮闘が励み

 一方、日本共産党の国会議員、地方議員も次々と質問で取り上げるようになり、「性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に関する法律案」を16年、野党4党(日本共産党、民進党、社民党、生活の党と山本太郎となかまたち)共同で衆院に提出(衆院解散で廃案)。17年にはLGBT自治体議員連盟も結成され、同年10月には北海道の舘内孝夫・党滝川市議がカミングアウトしたことなどにも励まされ、自らも公表を決意しました。

 小原さんは言います。「『男らしさ』『女らしさ』が押し付けられ、少数者が差別される社会は、誰にとっても生きづらい。日本共産党は、誰もが個人として尊重され、自分らしく生きられる社会の実現をめざしている。仲間の奮闘に励まされ、自分も党議員としてやっぱりこの課題に取り組みたいと思えるようになった。同時に、当事者として胸を張って生きたいとも感じた。性的マイノリティーだけでなく、ほかにも社会的マイノリティーの問題はいくらでもある。できる限り向き合い、議員として人間として成長していきたい」

LGBT 性的マイノリティー全般を指す言葉で、Lesbian(=レズビアン、女性同性愛者)、Gay(=ゲイ、男性同性愛者)、Bisexual(=バイセクシャル、両性愛者)、Transgender(=トランスジェンダー、性別に違和感のある人)の頭文字をとったもの。実際には性的関心がない人や揺れ動く人などさらに多様である。統計的には5%くらいと言われている。

SOGI どちらの性を愛するかという「性的指向」と、自身がどちらの性と認識するかという「性自認」を英語でSexual Orientation and Gender Identity、頭文字をとってSOGIと言う。性的指向と性自認は誰もが持っているが、少数派であるだけで偏見や差別が生じている。

■不要な性別欄の撤廃、同性カップルの権利保障・・・日本共産党の政策
 性的マイノリティーの一人ひとりが社会や地域、企業、学校のなかで「ありのままの自分」を肯定できるようになるため▽公的書類の不必要な性別欄の撤廃▽全自治体で同性カップルを「婚姻に相当する関係」と認定する条例や施策の実現▽企業の適切な対策と、実施企業の顕彰○未成年の子どもがいても性別の変更を可能にする法見直しの検討―などを求めています。(2017年衆院選政策より)

(「週刊京都民報」1月21日付より)