綾部市長選が21日、告示されます(28日投票)。同市長選は「みんなでつくる綾部民主市政の会」の堀口達也氏と現職の山崎善也氏の一騎打ちの様相。同市では暮らしの落ち込みや「格差と貧困」が拡大するもと、現市長は保育料引き下げや子どもの医療費無料化拡充などの要求に背を向けています。また、安倍政権に追随して、9条改憲への態度表明を避けるとともに、原発再稼働を容認する立場です。「市民の命と暮らしを守る市政への転換」が求められています。

■社民党関係者・連合系労組が初めて支持表明

 市長選では、堀口候補を応援する共同の広がりが大きな特徴です。社民党関係者や連合系労組、市民団体代表などが初めて堀口支持を表明しています。

 「格差と貧困」の拡大では、市民の平均給与所得が420万円(2000年)から380万円(15年)に減少し、同じ期間に就学援助は7・4%から19%に増大しています。
 さらに、この10年間で商店数は551から322に減少しています。しかし、現市長は、京都縦貫道の全線開通で大型店や企業進出が進んだとして「いい風がふいている」と宣伝しています。
 市内で時計店を営む男性は、「市長のいう風は地元業者には吹いていない。地域経済振興には地元業者を応援する視点と政策こそ必要」と語ります。

 同市は1950年に日本初の世界連邦都市宣言を行い、憲法の平和精神に基づき「全地球の人々と共に永久平和確立に邁進(まいしん)することを宣言」しています。しかし、昨年の市議会12月定例会で9条改憲について現市長は、国政の問題は地方議会にはなじまないとして、「議論を差し控えたい」と態度表明していません。
 14年に地元紙に掲載された集団的自衛権行使容認に抗議する意見広告の絵を描いた同市在住の芸術家アキフミキングさんは、「こうした市民の平和の思いを受け止め、9条守れと積極的に発信していく市長であってほしい」と語ります。

 同市は、高浜・大飯両原発から30キロ圏内に約9000人が暮らしています。同市では、キンカン行動など原発反対の運動が取り組まれるとともに、子育て世代を中心に安定ヨウ素剤の事前配布を求めるなど、再稼働反対と不安を訴える声が上がっています。しかし現市長は「再稼働にあたりベストミックスの追求を」などと再稼働を容認しています。
 7年前にIターンしてきた3児の母親、草刈愛さんは言います。「原発の心配をせずに安心して子育てしたい。それに、自然豊かな綾部が事故で住めなくなるかもと思うと苦しい。原発ノーを言う人に市長になってほしい」
 堀口候補は「格差と貧困」「憲法9条改悪」「原発再稼働」を許さない3つのストップを掲げるとともに、主な公約として▽中小業者・農林業者を応援し暮らしを守る▽医療・介護・年金切り下げから市民を守る▽保育料軽減や教育の保護者負担減で、子育て応援―などを訴えています。

(写真=街頭で支持を訴える堀口候補

(「週刊京都民報」1月21日付より)