■負担増が利用者圧迫

 京都民医連の北病院から転換した老健施設「おおみや葵の郷」で事務長も兼務しています。現在、介護度の高い高齢者や重度の認知症の高齢者など60人が入所しており、平均要介護度は4・3以上です。介護サービスの利用料は2割負担の人もおられ、利用料負担の上限は現在月3万7200円ですが、来年8月から一部の方(2割負担の12%の方が対象)では3割負担が導入され、負担の上限額も月4万4400円に上がります。年間で8万円の負担増となります。入所者だけでなく、通所や訪問のリハビリを利用している方への影響も大きいです。

 入所者のほとんどが年金からの支払いです。その年金が実は、家族の生活費に充てられていることも一部にあり、「経済的虐待」と批判することは簡単ですが、今の世代がおかれている深刻な格差と貧困が背景にあると考えます。こうした家庭では利用料の支払いがより一層困難になるのは目に見えています。

 来年は介護保険料の改定の年です。京都市の保険料基準額は府内・全国の平均よりも高い6080円で、さらに上がると言われています。介護を充実させようとすると保険料が上がる「保険主義」には限界があります。

 また、施設の収入となる介護報酬は、介護保険料の改定の度に下げられ、2000年のスタート時からはマイナス4・75%です。複雑な加算制度を取得しても、収益減はカバーしきれません。

 何よりも福祉の現場で働く若者が減っていることが問題です。介護福祉士は医者や看護師と同じ国家資格ですが、待遇面では看護師の約65%の給与額となっています。介護福祉士は高齢者の人生に寄り添うという、誇りとやりがいのある仕事ですので、国は福祉の現場に働く国家資格職にふさわしい社会的地位の向上と処遇改善を行い、専門職をもっと養成すべきです。