来年夏の参院選・京都選挙区(改選数2)に立候補表明した、大河原としたかさん(38)に日本共産党から立候補することの決意と、弁護士活動・実績、政治への思いについて聞きました。

─出馬への決意を聞かせて下さい。

大河原としたか

 12年間の弁護士活動の中で、平和や雇用、暮らしに関わるさまざまな訴訟に取り組んできました。国・行政を相手に訴訟することも多く、裁判闘争と同時に、解決を求めて国へ政治決断を迫る中で「政治を変えなければならない」と実感してきました。
 いっしょにたたかってきた人たちも、市民運動団体や労働組合、議員などそれぞれが政治を変えようと頑張っておられます。
 また昨年の総選挙でも、平和と暮らしを守る日本共産党を大きくしたいと思い、何度も街頭で訴えてきました。日本共産党京都府委員会から立候補の要請を受け、今度は自分が政治の舞台に立ち、安倍政権の暴走と対決しなければならないと思い、決意しました。

平和願う市民の運動と連帯

─出馬会見では、「憲法を守りたい」と強調されていましたね。平和への思いを聞かせて下さい。

 今年は戦後70年です。これまで、中国残留孤児国家賠償訴訟、原爆症認定集団訴訟、シベリア抑留国家賠償訴訟など、戦争に関わる裁判に取り組んできました。戦争を体験された方から悲惨な実体験を聞く中で、「この人たちを苦しめた戦争は絶対に許されない」、と何度も感じました。
 03年のイラク戦争では、京都でも多数の市民が参加してピースウオークが行われ、私も一緒に歩きました。イラク派兵差し止め訴訟の弁護団に加わる中で、市民の皆さんの平和を求める思いの強さ、大きさを体感することができました。
 市民の願いに対し、安倍政権は、秘密保護法の制定、集団的自衛権行使容認の閣議決定などを強行し、今年の通常国会では集団的自衛権行使のための法改悪を行い、平和憲法を変えようとしています。こうした「戦争する国づくり」を絶対に阻止する決意です。

青年を使い捨て派遣切りに怒り

─現在の雇用や暮らしの問題ではどう考えていますか。

 私が大学を卒業した01年頃は「就職氷河期」で、多くの学生が就職難。非正規雇用も増え、苦しむ若者を目の当たりにしてきました。
 弁護士として不当解雇、未払い残業代の請求、ブラック企業問題などに関わりました。自動車部品製造会社「ジヤトコ」京都工場で派遣切りされた労働者の裁判では、青年たちがモノのように使い捨てられ、傷ついていました。「使い捨てられるのが当たり前」の環境で過ごしてきた若者たちが、裁判で働く権利を学ぶ中で「自分たちはモノじゃない、人間だ」と声を上げた姿に私も励まされました。
 安倍政権は、労働者派遣法の大改悪案など労働法制の改悪を狙っています。不当な解雇とたたかってきたものとして、絶対に許されません。改悪をストップさせ、人間らしく働ける社会に変えていきたいと考えています。

─市民の生活、暮らしに関わる弁護活動にも取り組んでこられましたね。

 私が弁護士登録した02年ころは、全国的にも自己破産件数がピークとなった時期で、生活のためにサラ金から借金を重ね、自己破産せざるを得なかった方が後を絶ちませんでした。多重債務者の自己破産や再生、債務整理、違法なヤミ金被害の救済、生活保護申請などにも取り組みました。
 この背景には、この間の社会保障の連続改悪、雇用改悪など、生活破壊を招き、負担増を押し付けてきた政治の責任があります。
 その上で、安倍政権は、17年4月には消費税を10%に引き上げようとしています。増税すれば、今でも苦しい生活がさらに立ち行かなくなることは目に見えています。解散・総選挙がない限り、消費税増税までの間に行われる国政選挙は来年の参院選挙だけです。参院選で増税ストップ、社会保障改悪や生活保護基準の切り下げ中止を訴え、暮らしを守るために力を尽くしたいと思います。

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原爆症と残留孤児──“戦争許さない”の原点

─印象に残っている裁判、弁護士活動を教えて下さい。

昨年の11・3憲法集会(円山音楽堂)後、デモ行進する大河原さん2014年の11・3憲法集会(円山音楽堂)後、デモ行進する大河原さん

 弁護士になってすぐに担当した、中国残留孤児裁判と原爆症認定集団訴訟です。中国残留孤児の方は、戦争中に中国に置き去りにされ、中国でも「小日本鬼子」と非難され、日本に帰ってからも、不十分な日本語教育の中で、言葉の壁による日常生活や就職の困難さを抱えて苦しんでおられました。原告の方から話を聞き、中国にも行って現地を見て、本当に悲惨なことが行われたのだと実感しました。
 原爆症訴訟では、ヒロシマ・ナガサキで被爆された人から話を聞き、原爆や放射線被ばくの恐ろしさを実感しましたし、原爆投下後の広島市内について「においが本当にひどかった。においは写真では分からないよね」と言う原告の方の言葉が印象に残っています。この2つの裁判を経験したことで、戦争は絶対にしてはならないと強く思うようになりました。
 13年は京都弁護士会副会長となり、さまざまな立場の方が一致できるよう尽力し、弁護士会をあげて秘密保護法の成立阻止に取り組みました。その後も派遣法改悪反対、集団的自衛権行使容認反対などで、声明を出しています。平和や雇用問題など、いろんな分野で一点共闘を進めていきたいですね。

子どもたちに平和な未来を

─山形県出身で、2人の子どもの父親という立場から、ふるさとと、子どもたちへの思いを聞かせて下さい。

 内陸部の川西町という人口1万6000人ほどの町の出身です。雪が多くて、コメと米沢牛の産地として有名です。TPP参加で農業を壊す安倍政権とたたかい、農村を元気にしていきたいですね。
 子どもたちとは、Jリーグの京都サンガの応援によく行っています。サッカーなど子どもと外で遊ぶのが楽しみですね。戦争する国づくりや雇用破壊など、子どもの未来を奪う政治が続いています。平和で、子どもたちが安心して働ける社会をつくっていきたいと思っています。(「週刊しんぶん京都民報」2015年1月18日付掲載)