ザゼンソウ 滋賀県高島市北部の今津町弘川の西区地先の湿地に坐禅草の花が群生しています(写真)。全国的にも珍しく丁度今が見頃で近隣府県からの探訪者が絶えません。坐禅草(サトイモ科ザゼンソウ属で学名はSymplocarpus renifolius)は坐禅を組んだ達磨大師を背後の焦茶色い仏炎苞(仏焔苞)の形から命名されています(達磨草とも)。ちなみに英語はSkunku Cabbage`(スカンクキャベツ)と呼ばれ、切ったり潰したりすると悪臭を放ちます。
 1981年、地元の中学生が発見し、環境庁の自然環境保全調査の特定植物群落に選定され、滋賀県自然保全条例の緑地環境保全地域にも指定されています。北アメリカ、東北アジアなどに分布しており日本では中国地方以北の渓谷や谷川の湿地帯などに自生(北海道雨竜沼湿原、栃木県大田原市、山梨県甲州市竹森や滋賀県高島市、兵庫県香美町などが有名)しています。丸い肉穂花序(ニクスイカジョ)に小さな黄色の花がぎっしりと亀甲状に付いています。サトイモ科の植物はほとんどが毒草ですがアメリカ先住民は薬草や調味料や魔術的なお守りとして愛用したともいわれています。
 ところで昔から坐禅草は雪が積もっても雪を溶かし自らを暖める不思議な植物として知られています。座禅草は自家発熱で20度~25度までぐらいに体(?)を暖めて周りの氷雪を溶かす仕組みをもっているんです。いろいろ研究がされていますが決定的な解明はまだ途上ということです。現地のガイドは「先日の雪が積もった時、坐禅草だけは焦茶色の火焔苞をあちらこちらにつんと立ち上がって神秘的な景色でしたよ」と述べていました。京都から訪れた女性は「きれいなザゼンソウがこんなにたくさん咲いているとは思ってもみなかった。感動ものです。来て良かった」とニコニコ顔で語りながらケイタイ写真を撮ったりしていました。
3月中旬頃まで見頃ですが探訪される方は下記の情報センターに開花状況を問い合わせてください。(仲野良典)
「うしろより水のささやき坐禅草」(堤高嶺)[角川学芸出版『角川俳句大歳時記』春巻より]
入園料=無料  交通=JR湖西線「今津駅」徒歩20分:同駅バ路線バス「ざぜん草前」下車徒歩3分:R161バイパスとR303号線交差点すぐ(4~5台於ける無料駐車場あり) 問い合わせ=今津まちづくり情報センターTEL0740・33・7155 イベント=3月9日約6キロザゼンソウウォーキング&講演「ザゼンソウの不思議探究」岩手大学伊藤教授。時間や料金など詳細は前述のセンターにお問い合わせください。