市民団体申し入れ 京都市が、京都会館(左京区)建て替え計画で同館第1ホールの解体工事を強行(10日着工)しようとしている問題で、「京都会館を大切にする会」など建物の保存を求める11の市民団体が連名で6日、工事をいったん凍結し、再整備計画を再検討するよう門川市長あてに要望書を提出しました。以下、全文を紹介します。

京都市長 門川大作様
 京都会館の解体をいったん凍結し、再整備計画を再検討することを求める要望書

2012年9月6日

 市長におかれましては、十分ご承知のことと存じますが、この度、ユネスコの諮問機関であり、世界遺産の登録の審査やモニタリング(監視)活動を続けている国際記念物遺跡会議イコモス(ICOMOS,本部パリ)の「20世紀遺産に関する国際学術委員会」において、厳格で独立した審議による評価が行われた結果、シェリダン・バーグ委員長名で、市長宛に「遺産危機警告(Heritage Alert)」の発令を前提とした「京都会館再整備基本設計に対する意見書」が提出されました。この意見書は、現在の京都会館を「遺されるべき文化遺産」と認め、その文化遺産の価値を破壊する現計画に対し遺産危機警告(Heritage Alert)を発令するとし、市長に対して計画の再考を要請されています。
 また、本年7月にDOCOMOMO(モダン・ムーブメントにかかわる建物と環境形成の記録調査および保存のための国際組織)日本支部から京都市長宛に「京都会館再整備基本設計に対する意見書」が提出され、ここでも、京都会館再整備基本設計を「京都会館の歴史的建造物として文化的価値を喪失する」と認定し、計画及び基本設計の見直しを要請されています。
 私たちは大規模な解体を伴う現プランでなくとも、現京都会館の躯体・外観・デザインを保存する前提の改修工事によって十分に今日的なニーズにこたえる会館に生まれ変わることができると考えており、上記の意見書の指摘に強く共感するものです。また、市長自身が設置された京都会館建物価値継承に係る検討委員会は、「機能の向上や利便性から計画される改修であっても、それが歴史的な建物価値を損なうことのないよう取り組まなければならない」と提言しましたが、現プランはその提言を受けとめたものとはとても言い難いものです。
 このように、複数の国際的な活動を行う専門家集団から、今回の計画が京都会館の建物価値を継承しないと指摘されている事実を重く受けとめていただき、9月10日から予定されている第一ホールの解体をいったん凍結し、京都会館再整備計画を見直す時間を設けられますように要望し、誠実なご回答が頂けるように願うものです。
 なお、回答は、9月13日(木)までに上記連絡先まで文書で頂けるようにお願いいたします。

以上

京都会館を大切にする会 吉村篤一
岡崎公園と疏水を考える会 吉田和義・吉田時雄
京都会館再整備をじっくり考える会 西本裕美
京都まちづくり市民会議 中林浩
北泉橋を考える会 高川洋子
松ヶ崎の住環境を考える会 小畑健二
新日本婦人の会左京支部 奥村洋子
左京地区労働組合協議会 川上裕光
初代左京区役所に文化施設を要望する会 代崎芳子・安本俊昭
吉田・区役所移転問題を考える会 瀧本清彦
京都文化団体連絡協議会 藤沢薫