ハス 長岡京市の長岡天満宮の八条ケ池の水生植物ゾーンには、ピンクのハスの花が一面に咲き誇っています。同市の友好都市である中国寧波市から寄贈された西湖江蓮というハスです。天龍寺の方丈池などのハスの花より丸くて白色に薄いピンクをにじませたような花びらです。日本のハスも元々は中国から渡来した水草で、その大本はインドと言われています。水生植物の仲間でスイレン科ハス属、和名は果実が入った花床がハチの巣に似ているので蜂巣と略されています。
 長岡天満宮(通称=長岡天神、見返り天神)は、菅原道真が在原業平らとたびたび詩歌管弦を楽しんだところで、道真が九州太宰府に左遷のおりにも立ち寄り名残を惜しみました。八条ケ池という名前は、江戸時代当地一帯の領主であった八条京智仁(としひと)親王が境内周辺に池を掘ったことにちなむと伝えます。以降は農業用のため池として利水され、今日では中央に堤を築きキリシマツツジや北西の水生植物ゾーンにはハナショウブ、アヤメ、カキツバタ、スイレン(以上の花期は終了)やハスが植生され参拝者や散歩をする人達の目を楽しませてくれています。水生植物ゾーンには全長273.8メートルの檜で作った水上橋が架けられ、橋上から一面の咲き誇るハスの花を観蓮するのも圧巻です。同じスイレン科の仲間である水生宿根草のコウホネが黄色いかわいい花を咲かせています。鑑賞は午前10時頃までがきれいで、あと1週間程度が見頃です(コウホネは8月いっぱいまでか)。
 交通機関=阪急長岡天神下車西5分、JR長岡京駅西10分程度。入山料などは無料。(仲野良典)
 「風荷ノ老葉ハ蕭条トシテ縁ナリ   水蓼ノ残花ハ寂瀑トシテ江ナリ」(白居易)