デフレ脱却を優先せよ

 日本の消費税は、逆進性という欠陥はありますが、それを解決するなら安定性に優れた税だと思います。しかし今のタイミングでの税率アップは極めて悪い。消費マインドの低下で不況がさらに進み、税収が落ち込む可能性も十分考えられます。
 今、そんな危険な賭けをする必要はありません。それよりも最優先してやるべきは、悪魔のようなデフレ経済からの脱却です。この間の国の政策や取り組みを見ていると、デフレを何がなんでも退治しようという気迫が一向に感じられません。
 奈良の県紙や生まれ故郷の地域紙で40年働き、地方の企業経営者や商店主らの生きる姿をつぶさに見てきました。そんな中、北近畿や綾部でそうした方々に最近、直接お話を聞いていますが、消費増税が実施された時に「増税分を価格転嫁できない」と答えられた方は半数程度です。
 国と地方が抱える借金は莫大であり、いつまでも放置しておけません。国の出先機関や特殊法人を整理統合したり、天下りにメスを入れて無駄を排除する姿勢と実績を見せるなら、国民の多くは「消費増税もやむなし」と納得すると思います。(「週刊しんぶん京都民報」2012年5月27日付掲載)