シリーズ・発言 増税許せぬ(5)創業300年の蔵元「月の桂」14 代目 増田德兵衞さん
先行き不安をあおる
国債や借入金など「国の借金」は約960兆円で、1人あたりに直すと752万円。身に覚えがありません。どうしてそんなに借金がふくれあがったのか、税金の使途が不明です。まともな説明もなく「お金が足りないから消費税上げます」と簡単に言われても国民は納得できませんね。
将来の先行き不安があるから消費が落ち込むわけで、消費税を上げれば先行き不安をあおるだけ。逆効果です。
酒の売上げはとりわけ消費者マインドに左右されやすく、私たちはその動向に敏感です。昔は不況でも「酒でも飲まなやってられんで」と言って不況を跳ね返す気力を感じましたが、最近はそんな言葉すら聞かれなくなりました。
わが社では、「稼ぎ頭」という酒をつくってみたり、消費者のみなさんに少しでもポジティブな気持ちになってもらえないかと知恵をしぼっています。
政府も、消費税を上げる前に、国民が何に先行き不安を感じているのか原因を調べ、対策を考えて欲しいと思います。誰しも子や孫の世代に苦労をかけたくない、納得できるものなら協力したいと思っているわけですから。(「週刊しんぶん京都民報」2012年5月20日付掲載)