伊波・柳澤講演会 昨年の沖縄県知事選挙に出馬した伊波洋一元宜野湾市長と元内閣官房副長官補(2004年~09年)で安全保障担当の柳澤協二氏の講演会が2日、京都市中京区のラボール京都で行われ、市民ら140人が参加しました。立場の違う両者が、ともに「沖縄に米軍基地は不要」という論を展開しました。
 伊波氏は、沖縄の米軍基地が米軍の銃剣とブルドーザーによる強制接収で造られたもので、1972年の沖縄返還後も存続している歴史をのべ「県民の『基地はいらない』という意思に背き、66年間も基地負担を押し付けられてきた。県民の意思は『基地はいらない。土地を県民に返してほしい』ということです」と述べました。
 長年、政府中枢で安全保障を担当し、1昨年夏に退職した柳澤氏は、「米海兵隊の基地が沖縄でなければならない理由は見出せない」と主張。
 宜野湾市の米海兵隊普天間基地を名護市の辺野古へ移転し、新基地を建設する問題について、伊波氏は「沖縄県民の意思は『県外移設』で決して海の埋め立ては許可しない」と述べました。柳澤氏は、「辺野古での基地建設は15年間も前から言い続けて実現しないのにどうして今さら2+2で合意をするのか。“日米神話”に毒されているとしか思えない」と批判しました。
 日本政府の対米追随ぶりについて伊波氏は、「アメリカは、辺野古に固執し、日本政府はその通りに従った。日本は抵抗しない国だと思われている。アメリカの決めた通りに動く国でいいのか。アメリカの世界戦略のために日本の基地が使われていいのか、政府は日本の国益のためにこそ安全保障すべきです」と訴えました。
 鳩山政権の迷走で、自分のやってきたことが日本の安全に役立ったのか、自問し始めたという柳澤氏は、アメリカ一辺倒の日本のあり方を問いかけ、「日米基軸」であるがゆえに多国間外交、地域外交戦略の不在などがある。中国の訪米や中東の民主化の動きなど、近く世界の大きな地殻変動があるのではないか。日米基軸に代わる外交理念の創造は政治の責任だ」と強調しました。