市民や演者の意見第一に議論すべき

能楽師(シテ方観世流) 味方玄さん

 京都会館の建て替え計画は、世界的に著名なオペラの巡回公演を持ってくることが先に決まっていて、そのためには箱物をどうするのかの論議に終始してきました。
 本来、舞台を見る市民や演じ手にとって、どういう舞台が必要なのか、何が求められているのかの論議が先ではないでしょうか。順序が逆だと思います。
 私は、能を能楽堂だけではなく、一般のホールでも上演する「テアトル・ノウ」に挑戦してきました。古典芸能に携わる私たち若手にとっては、自主公演や試演ができる舞台がほしいと常々思っています。必ずしも大型の舞台が必要ではありません。京都会館の改修計画には、京都で活動する若手の芸術家を育成していく視点が大事だと思います。京都会館に行けば、他では見られない魅力ある舞台があれば、観客も集まってきます。
 行政と設計者が机上で作ったプランでは、決していい舞台はできません。観客である市民と私たち演じ手の意見や議論を第一にして、計画を進めるべきだ考えます。(「週刊しんぶん京都民報」2011年6月19日付