内橋克人講演会 経済評論家・内橋克人氏を迎えて、菅内閣が進める環太平洋経済連携協定(TPP)問題の学習講演会(農林業と食糧・健康を守る京都連絡会主催)が19日、京都市南区の京都JA会館で開かれました。会場あふれる370人以上が参加、内橋氏は「『TPP開国論』は開国ではなく国を明け渡すこと」とアメリカ主導のTPPの危険性を指摘しました。
 「日本開国論をきる」をテーマに講演した内橋氏は、最初にTPPをめぐるマスコミの報道について、TPP推進一色の東京発の大手マスコミに対し、地方紙や他のジャーナリズムでTPPの危険性を指摘する動きが出ていることを紹介。大手マスコミの論調を変えさせるような取り組みの強化を呼びかけました。
 その上で、TPPは、アメリカ政府が1990年代に画策し、世界のNGOの大反対運動で97年にとん挫した「多国間投資協定(MAI)」に端を発すると指摘。「マネーにとって障壁なき『バリアフリー社会』を世界につくるためのМAIが時を隔てて現れたもの」と警鐘を鳴らしました。
 内橋氏は、食糧自給率、穀物自給率が大きく後退してきた日本の異常さを告発しながら、これが軍事とともに経済を従属化させる「日米安保体制」の本質であると強調。前原外相が「(日本の第一次産業の割合は)1.5%、そのために残り98.5%が犠牲になっている」と発言したことを事実に反すると批判し、「政治言葉のウソを見抜くことが必要。農業、環境、地域社会を明け渡すことになるTPPは止めなくてはならない」と反対運動の強化を呼びかけました。
 学習講演会では、主催者を代表して京都食健連の岩橋祐治代表委員(京都総評議長)があいさつし、TPP参加反対などをスローガンに開催する3月6日の府民大集会(午後2時、円山野外音楽堂)の成功を呼びかけ。内橋氏の講演を受けて、医療・社会保障、農業、消費者の分野の代表がTPPによる影響の深刻さについて報告・発言しました。