府内の農林業者や府職員、研究者らが17日、農業に深刻な被害を与えている有害鳥獣問題について考えようと「京都府有害鳥獣問題研究会」を設立しました。京都市中京区で設立総会が開かれ、各地の有害鳥獣被害の実態が出されました。
 代表に選ばれた上島裕氏(NPO法人やましろ里山の会顧問)は、「シカやサルなどが田畑を荒らし、京都府内で約7億円もの損害が生まれるなど深刻な状況です。イノシシや熊も各地で出没し、農作物被害だけでなく、人命に関わる問題となっています。よく研究し、鳥獣被害対策を考えていきたい」と述べました。
 府職員として10年以上鳥獣対策を現場で担当してきた、同会事務局長の安井昭夫氏(林業経営者)は、「京都府では近年、鳥獣被害額が大幅に増えている。このままでは農林業などを含めた地域の崩壊につながりかねない。多くの農林業者や研究者と、現状と課題解決にむけて活動していこう」と呼びかけ、調査研究の交流やフィールドワークを行うことなどの活動方針を提案しました。
 参加者からは、「これだけ田畑を荒らされたら農業はやっていけない」「シカは3メートルの網を乗り越え、猿は少しの隙間があれば畑に入ってくる。行政の支援や対応策を交流したい」「駆除したシカの処分にお金がかかりすぎる。シカ肉を売るルートや安定供給を検討すべき」などの意見が出されました。
 設立総会では、上島氏とともに奥村英一氏(元京都府農業総合研究所所長)を代表に選出しました。
 日本共産党の府議、市・町会議員らが参加しました。