構造改革路線の下で医療・社会保障崩壊が進む現状を告発した、『10年後、あなたは病気になると家を失う―国民皆保険崩壊の真実』(日本経済新聞社)を出版(共著)した、津田光夫・京都社会保障推進協議会議長(府保険医協会理事)が15日、京都市中京区のラボール京都で開かれた学習会(京都社保協主催)で講演し、「憲法と人権、社会保障の理念に立ち返る医療再生の運動を」と訴えました。
 津田氏は、医療崩壊が社会的に明らかにされる下で、民医連や保団連など医師団体だけでなく政党やマスコミも医療再生の提言を打ち出し、「いずれも『構造改革』路線への痛烈な批判があるのが特徴」と指摘しました。
 戦後史を振り返り、国民の運動で社会保障を拡充してきた流れが80年代に始まる医療費抑制政策で断ち切られ、特に90年代後半以降の自立自助や自己責任を求める「構造改革」路線の推進には、「グローバル経済の中で国際競争力を高めたい財界・大企業の戦略が働いた」と強調。最後の拠り所である生活保護まで「水際作戦」と称して受けさせないなど医療・社会保障が政策的に壊されてきたことを批判しました。
 最後に、後期高齢者医療制度や障害者自立支援法に反対する運動の盛り上がりや生存権裁判のたたかいなど国民の側からの反撃が始まっているとして、「今問われているのは、憲法と人権、社会保障の理念。社保協の運動もよりいっそう強めていこう」と呼びかけました。