福知山成美を強豪校に育て上げた田所孝二監督がよく口にする言葉は、「全員参加の野球」。海外で野球を教えた経験から得たものでした。田所監督は福知山高校で投手、遊撃手として甲子園を目指しましたがかなわず、卒業後は関西大学、日本新薬と、プロ入りはかないませんでしたが、常に野球の強豪チームでプレーし続けてきました。
 そんな田所監督が、指導者の道を歩み始めたきっかけは、「当時世界のトップといわれたキューバに代表される中米に行って世界の野球が見てみたい」と思いたったことでした。33歳。仕事をやめて2年間青年海外協力隊員として中米・グアテマラで、指導者として野球の普及に努めました。
 グアテマラでは草野球を見にきた観客が「入れてくれ」「打たせてくれ」とグラウンドにでてきてバッターボックスに勝手に入ることもしばしば。そんなときでも「プレーボール」と試合は続けられます。子どもから大人まで楽しみながら野球をしていました。
 グアテマラで経験した「全員参加の野球」を田所監督は実践しています。「野球部に入部してきたんだからみんな野球をする。みんな同じ練習して競いあう。そこで自分をアピールする選手になってほしいです」と語ります。
 選手たちが「今はどういう練習が必要なのか」「足りないものは何か」と、自分で考える力をつけることが大切だといいます。
 「甲子園の上位常連校はスパルタのような厳しい練習をしています。でも、ここでは自然体の野球を大事にしたい」と話すように監督が選手に練習について細かく指示することはありません。「選手らに『自分たちでやっているんだ』という気にさせるんです。そうして上手くなるほうがいいでしょう」と言います。(続く)