日本共産党京都府議団(新井進団長、11人)は16日、山田府知事に対し、「派遣切り」「下請切り」など雇用や経済状況が悪化する中、府民の生活・雇用・営業・いのちを守る緊急対策を求めて申し入れました。
 申し入れの全文は以下の通りです。
 派遣労働者の雇い止めは「年越し派遣村」に大量の失業者が押し寄せるなど事態がいっそう深刻化し、打開を求める声と行動が国民の中に急速に広がっている。
 本府でも、派遣切りなどとともに、中小企業や零細業者は仕事や売り上げの激減に直面している。京都の雇用の多くは中小企業・業者によって支えられており、このまま進めば、京都経済への深刻な打撃と大幅な雇用喪失につながりかねない。また、入学時期をひかえた子どもへの影響も特に憂慮される。
 わが党議員団は、これまで府内一円を調査し、緊急対策の具体化を数次にわたり求めてきた。昨年12月府議会では「府民生活を守るための緊急経済・雇用対策を求める決議」が可決され、府においても「京都府緊急経済・雇用対策本部」が設置されるなど、対策が講じられつつある。
 今後、年度末に向かい、いっそうの事態の悪化が危惧されるもとで、いま本府に求められていることは、事態に対応した全面的な支援を緊急に実施することであり、府の総力をあげた取り組みである。
 このため、現在ある「京都府緊急経済・雇用対策本部」が府民の生活を全面的に守り支援する役割を果たすとともに、早急な衣・食・住への緊急支援策が求められることから、労働組合、市民団体、NPOなど、府民の取り組みと連携した支援策を講じることである。
 よって、改めて以下の緊急対策の速やかな具体化と実施を強く求める。
1、補正予算および2009年度当初予算について深刻な不況から命とくらし、営業を守る府民生活擁護を柱に、緊急性、実効性のある予算にするため、国の補正予算まちとせず、補正予算も当初予算も、思い切った措置、財政出動を行なうこと。
 また、雇用情勢が悪化している中、「給与費プログラム」にもとづく人員削減計画は凍結すること。
2、緊急に実施を求める事項について
 雇用確保と創出、失業者対策、生活支援
派遣切りなどへの対策
①知事として、大企業と経済団体に対し、内部留保を取り崩してでも雇用を守るように強く求めること。
②国に対し、非正規労働者の雇い止め、「派遣切り」を規制する緊急立法を制定するよう求めること。
 また、労働者派遣法を改悪前の1999年以前に戻すよう求めること。
③労働局と協力し、府内のすべての企業の雇用状況を早急に調査し、結果を明らかにすること。
④府として、派遣先企業と派遣会社に大量解雇の中止を強く指導し、雇用を守る社会的責任を果たさせること。 さらに厚生労働省通達を企業に徹底させるとともに労働者への周知も求めること。
⑤違法な「内定取り消し」中止を強く求めること。
⑥京都府が誘致し補助金を交付している企業については、雇用調整に対し厳しい監視と指導を行なうこと。雇用計画の提出と雇用に関する事前協議を制度化すること。
失業者等への生活支援
①市町村と協力し、失業者への宿泊と食事を提供する無料の「緊急一時避難所」を府内北部と南部に設置すること。避難所には生活支援、医療相談や仕事探しを援助する体制をつくること。
②失業者に対し、府営住宅など公的住宅の家賃の減免や入居基準の緩和を行なうこと。
③生活保護申請に対して、体制を充実して迅速に対応し、申請者の生活支援に全力をあげること。
雇用創出、就業支援
①臨時の公的就労事業を実施し、失業者の働く場を確保すること。
②雇用創出にあたっては、緊急に人材確保が求められている分野の具体化をはかること。特に介護などの社会福祉分野の人材確保、山林・農地などの保全管理や畜産等農業分野の就労援助を行なうこと。
③府として、職業訓練支援など緊急対策と再就職支援を「ジョブ・パーク」等を活用し北部や南部も含め行なうこと。また離職者支援資金の改善を求めること。
④就業訓練期間中及び再就職決定までの期間、雇用保険未加入の労働者も含め、失業手当の支給、職業訓練支援の拡充、住宅の確保など生活を保障する制度創設と改善を国に求めること。
中小企業・建設業等の営業を守る緊急対策
①市町村と協力し、府内の全事業所に対し、要望の聞き取りと対応、各種制度の周知徹底を行なう訪問活動を行なうこと。
②台風23 号災害時、「非常時緊急融資」(利率1%、据置2年)が実施されたが、現行の制度融資についても利率を引き下げるとともに、返済据え置き期間を3年に延長すること。また、納税要件の緩和と条件変更した業者の融資が不利にならないようにすること。
③信用保証協会による保証渋りが起こらないように強く指導すること。また、条例を制定し信用保証協会の求償権放棄を早急に実施すること。
④大企業による中小企業に対する一方的な仕事打ち切りをやめさせ、社会的責任を果たさせること。
 また、「単価たたき」や「代金不払い」等の下請けいじめを厳しく取り締まること。相談体制を強化し違反事例と企業名の公表、被害補償などの是正措置を迅速に行なうこと。
⑤中小業者の仕事興しのため、官公需を前倒し発注すること。学校や公共施設の小修繕や備品発注、公費が投入された施設工事での地元業者への優先発注や下請け保護など中小建設関連企業の仕事を確保すること。小規模業者の登録制度を導入すること。
⑥バリアフリー化や水洗化などにも利用できる住宅改修助成制度を創設し、耐震改修助成制度についても助成額の増額や部分改修を認めるなど改善すること。
⑦ 銀行などによる「貸し渋り」「貸しはがし」をやめさせ、大銀行の中小企業への貸し出し目標を明確にさせ、その達成のための指導・監督を強めるよう国に求めること。
⑧市町村と協力し、小規模事業者にむけた事業資金などの緊急直貸し制度を実施すること。
教育費の負担軽減策
①来年度の高校、大学入試合格者が、経済的事情により、進学断念などの事態とならないよう、「無利子・返済据置」の「緊急就修学資金貸付」制度を創設すること。
②他府県の私立高校に通う府内在住の高校生に対する私学助成制度を復活させるとともに、私学助成を増額し、直接給付とすること。
③経済情勢の悪化が進路選択に重大な影響を与えている。とりわけ京丹後市域では府立高校定員数よりも中学三年生が100人以上多くなっており、高等教育を保障するうえで、府立高校の定員増や二次募集の実施など緊急対策を講じること。
④通学費補助制度の適用対象額を拡大するとともに距離要件を緩和すること。回数券利用者においても、領収書や学校による通学実態の証明をもって対象と認めること。
⑤府立学校の授業料減免制度について、世帯収入ではなく保護者収入を基準とすること。