門川大作京都市長は8日、「京都未来まちづくりプラン」(案)を発表しました。これについて日本共産党京都市議団(山中渡団長、20人)は、次のような声明を発表しました。
 一、本日、市長は「京都未来まちづくりプラン」(案)(以下、「プラン」案)を発表しました。この「プラン」案は、今日の未曽有の景気悪化によって中小企業の営業と暮らし、雇用が深刻になっているもとで、市民サービス削減と負担増を公然と盛り込み、その中心にすえています。これでは市民の笑顔も、夢も、安心も、生きがいをも奪う最悪の「未来壊しプラン」といわざるをえません。
 そもそも本市財政が危機的状況に陥った原因は、大型公共事業による膨大な借金と「三位一体改革」による地方交付税の大幅削減にあります。「プラン」案は、この削減を国言いなりに受け入れ、「財政健全化法」を先取りしたものです。
 二、「プラン」案は、これまで市民の英知と努力によって築き上げられてきた本市の施策や制度の縮小・廃止を提案し、全国に誇るべき制度の根本を崩そうとしています。
 行財政改革・創造プランでは「本市単独で実施している事業の見直し」として、四十年近く民間保育園の運営と保育士や子どもの処遇を守ってきた「プール制」(民営保育所職員給与等改善制度)への補助金削減を提案しています。「制度の枠組みは維持する」と言いますが、補助金の削減は民間保育園職員の処遇の悪化に直結し、全国に誇る京都の保育水準の低下につながることは明らかです。さらに各種補助金の一割削減が盛り込まれており、実施されれば当該団体の事業運営に大幅な支障をきたすことになります。
 また、ごみ袋有料化財源を他局の事業への財源に充当する提案は、「ごみ減量の施策に充てる」としてきた市民との約束を反故にし、市民のごみ減量の努力を欺くものです。特優賃フラット家賃減額補助の見直しは、家賃引き上げに直接つながります。さらに、市バスへの生活支援路線補助金の縮減など公営企業会計への繰り出し金の縮減や休止は、市民サービスの後退に連動し、国保特別会計の単年度収支均衡化は、国保料の引き上げにつながり、滞納世帯の増加など深刻な事態を一層広げるものです。
 「受益者負担の適正化」を口実に、学童クラブ利用料の値上げ、青少年活動センターの有料化、スポーツ施設利用料の値上げなど、大幅な使用料・手数料の見直しが盛り込まれています。これ以上の負担増は限界を越えるものであり、ますます施設や制度から市民を遠ざけるものとなります。
 三、「不要不急の事業の見直し」についても、事業主体も決まらず、財源のめどもまったく立っていない市内高速道路未着工三路線の計画撤回と中止の明言はなく、キリンビール跡地や焼却灰溶融炉など大型開発事業にもメスが入っていません。真の見直しにはほど遠いものです。
 さらに、財源不足への特別対策の一環で「緊急の人件費抑制策」として市職員の給与カットが盛り込まれましたが、市人事委員会の勧告を無視したものであり、重大です。
 四、「政策推進プラン」に関しては、経費推計総額3100億円としていますが、個々の施策の経費と年次計画は明記されていません。「共汗指標」が示されていますが、放課後学び教室や市民共汗サポーターなど市民ボランティア頼みであり、行政の公的責任の後退は許されません。
 こうした中でも、市民と関係者の運動と要望によって、プラン期間中は保育料の現行水準の維持、市費による少人数教育の継続を明記させることができました。
 党市会議員団は、「プラン」案の重大な内容を広く告発し、市民や関係団体のみなさんと力をあわせ、その撤回に力を尽くすものです。