作家、西口克己の名作「祇園祭」の元になった、同名の紙芝居の現物が、半世紀ぶりに京都大学で見つかり、7月13日には、京都市内で再演されます。
 発見されたのは、A2判のオリジナルを元に、各地で上演するため作られたB4判の小型版の紙芝居11枚と同紙芝居を撮影したスライド(35㍉ポジフィルム)、台本、同紙芝居の上演記録、故西口氏の手紙など。
 研究者、大学院生、学生らでつくる「戦後歴史学ワーキンググループ」(京都市、田中聡代表)が昨年、同紙芝居を制作したといわれている「民科京都支部歴史部会」の資料を調査中に京都大学の研究室にあったダンボール箱の中から見つけたました。
 紙芝居は1952年、当時立命館大学教授だった故林屋辰三郎氏の指導を受けた京大学生ら「民科」のメンバーが、民衆が歴史を動かすことを市民に訴えようと制作したもの。応仁の乱後の荒廃の中、幕府に抗して町衆が祇園祭を再興する物語で、西口克己の同名小説(1961年)の原型になったともいわれています。
 同グループは「上演当時の歴史を伝える一級の資料だ」と話しています。
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 同グループが復元した紙芝居は13日午後1時半から、京都市中京区の登録会館で京大生らのサークル「紙芝居研究会」が上演します。
 入場無料。