京都市発注の市東北部クリーンセンター(左京区)の建設工事をめぐり、談合を行った受注企業に約24億円の返還を命じた住民訴訟の判決を受け、勝訴した原告住民が7日、京都市にたいして約1億9300万円の弁護士報酬の支払いを求めて京都地裁に提訴しました。
 住民訴訟では、昨年9月の大阪高裁控訴審で、談合による損害額を契約金額の8%と認定し、勝訴。今年4月に川崎重工業(神戸市)の上告が棄却され、判決が確定し、同社は京都市にたいして、損害賠償金約18億3000万円、遅延損害金約5億7600万円の合わせて約24億円を返還しました。
 住民訴訟では、原告勝訴の場合、地方自治法で自治体が弁護士費用を負担できると定められ、通例報酬額は訴訟によって得られた利益によって算出されるとされ、住民らは京都弁護士会の報酬規定に基づいて返還額から1億9353万円を算出し市に請求。しかし、市は住民訴訟の経済的利益は算定不能(800万円とみなす)として、報酬額を190万円と回答していました。
 訴状では、「裁判に要する費用や労力を無視して、すべて算定不能(800万円)として扱うことは、住民訴訟の機能を著しく阻害し、高額かつ立証に困難性を伴う不正財政支出を訴訟を通じてチェックすることを事実上困難なものにする。住民訴訟制度の存在意義の没却をはかろうとする不当極まりないもの」と主張しています。
 提訴後の会見で、原告住民の野村政勝さんは、「本来市が行うべき裁判を、住民が立ち上がり、献身的な弁護団の働きで返還を勝ち取ったもの。実働7人の弁護士が7年間かかって190万円の報酬では、1人年4万円にしかならない。これは住民運動や訴訟をさせない姿勢ともとれ憤りを感じる」とのべ、弁護団の小林務弁護士は、「損害賠償額の利子(遅延損害金)の一部でまかなえるもの」と話しました。