20070716-01.jpg 祇園祭の音といえば「コンコンチキチン」の囃子(はやし)が有名だが、各山鉾町の町家で子どもらがろうそくを売る際の独特の節回しは、祇園祭の京情緒をかきたててくれる。
 各山鉾町の町家では、懸装品(けそうひん)や屏風などが展示されるが、それらをほのかに照らすのがろうそく。願かけの献灯のためのものだが、電灯と違って祇園祭の雰囲気を盛り上げてくれる。浴衣姿でこれを売るのが子どもらの仕事だ。
 「御信心(ごしんじん)の御方様(おんかたさま)は、受けてお帰りなされましょう。ろうそく一丁献じられましょう。ろうそく一丁どうですか…」と節をつけて語るというより唄う。京ことば独特のイントネーションが鮮やかに出てくる。
 いくつかの山鉾町で行われているが、素朴さでいくと八幡山がいい。四条通と違って、人通りも比較的少なく、こじんまりとまとまっていて落ち着いた町家の雰囲気からだろうか、時代に流されない祇園祭の姿をそこに見る。(参尾川舟)