「週刊しんぶん京都民報」登録通信員として活躍中の鏡山次郎さん(56)がこのほど、『京都山科 陵ケ岡・鏡山二千年の歩み』(つむぎ出版、400ページ、2000円)を出版しました。
 同書は、御陵(みささき)、厨子奥(ずしおく)、西野、日ノ岡、花山(かざん)各地域の歴史を民衆の視点で古代から現代までを物語風にたどっているもの。同地域を舞台におこった室町時代の大規模な土一揆や、1930年の鐘紡山科工場のストライキなどのドラマをつづっています。
 鏡山さんは、元小学校教諭。生まれ育った地域の歴史を調べるようになったのは、03年、地元・鏡山学区日本共産党後援会(山科区)から「鏡山民報」に“地元ネタ”の寄稿を依頼されたことがきっかけです。地名の由来などを紹介した記事が好評で、歴史をつづる連載をすることになりました。図書館などで文献にあたるだけでなく、地域の古老などから聞き取りも重ねています。
 「最ものめり込んだ取材」は、明治期に新政府軍の一員として鳥羽・伏見のたたかいに参加した「山科隊」と当時の地域リーダー比留田権藤太(ひるたごんのとうた)。比留田が私財を投げ打って新天地「東山科村」建設を試みた(=のちに挫折)現在の千葉市緑区東山科町に足を運び、近年比留田を顕彰する石碑が建てられていたことなどを明らかにしましました。
 同書について鏡山さんは「私たちが何気なく生活している地域は、汗を流して開墾し、町をつくり、文化を育てた人たちの連綿とした営みの上にあることを知ってもらいたい。地域の新しい歴史を創り出す糧にして欲しい」と話しています。