NPO法人「やましろ里山の会」は京都府レッドデータブックで絶滅種として扱われているレンリソウを木津川堤防で発見しました(写真)。マスコミ各社は「43年ぶりの発見」と大きく報道しました。
 レンリソウはマメ科の植物で、小葉がきれいに寄り添っているのを、男女の仲睦まじい様子に見立てて連理草と呼んでいます。私は恩師の竹内敬によって、1964年に亀岡市の年谷川で採集されたのを最後に、近畿地方では報告が無かったこの植物に興味を持っていました。ここで生き残っていたおかげで今回、お目にかかることができたことに感激しています。
 「会」は、退職者や地域の主婦らが活動の中心です。これらの人たちで木津川の区域を分担して植物を採集し、標本として保存するとともに、一部は京都大学や植物園にも寄贈しています。
 レンシソウは5月20日に主婦の調査員が左岸堤防で発見したのに続いて、1週間後には右岸でも男性の調査員が見つけていましたから、2箇所で数百本の生育を確認しています。これらは「人海戦術」の成果です。
 今、木津川堤防の草刈が始まっています。私たちは国土交通省木津川出張所に対して、レンリソウを再び「絶滅」させてはならないから、せめて実が熟するまで草刈を中止してほしい、と要望しているところです。
 地球温暖化や環境破戒などで動植物の絶滅や種の減少が大きな問題となっていますが、今月ドイツで行われる主要国会議でも生物多様性について論議されます。こうした折に政府や自治体は生物多様性の問題にもっと眼を向けることを希望するとともに、私たちの活動の意義を改めて自覚しているところです。(「やましろ里山の会」顧問・上島裕)