共産党 「自社株買い」を規制、労働者が生み出した富を労働者に

 総選挙では、自民党政権が進めてきた、大企業と大株主の利益優先政治を転換するかどうかが問われています。その大株主のもうけを増大させ、〝富の一極集中〟を加速させているのが、自社株買いです。本紙は府内で2000億円以上の内部留保を持つ10社の自社株買いの実績を調査したところ、2024年と25年に大規模な自社株買いを行った企業は5社で、総額4300億円にのぼることが分かりました。

京セラ2000億円 村田製作所1000億円

 各社のプレスリリースなどから自社株買いの実績を調査。最も大規模なのが、京セラ(京都市伏見区)の2000億円(25年5月)。これは同社の本社従業員給与の1年分総額(従業員数×平均給与)約1455億円を上回ります。次いで、村田製作所(長岡京市)の1000億円(25年5月)で、これも本社従業員給与総額(同)約873億円を上回ります。

株価をつり上げ、以前は原則禁止

 次にSGホールディングス(京都市南区)の750億円(25年5月)、SCREENホールディングス(京都市上京区)の300億円、島津製作所(京都市中京区)の250億円などとなっています。

 自社株買いは、企業が過去に発行した自社の株式を公開市場から買い戻すこと。市場に出ている発行済み株式の数が減ると、その企業があげた利益の額が変わらなくても、1株当たりでいくら利益をあげたかという自己資本利益率(ROE)が上昇。すると、株式市場でその企業の株式に対する評価が高まり、株価をつり上げることになります。

 日本では自社株買いを原則禁止してきましたが、小泉純一郎政権の「構造改革」のもと、01年の商法改定で自社株買いを解禁。05年に商法を会社法に改定する中で自社株買いの全面的な規制緩和が行われました。

 日本共産党の調査で、過去2年間に上場企業が自社株買いに使った資金は33兆円にのぼり、これらの企業の正社員給与総額の2年分に匹敵します。大企業の内部留保は、12年の333兆円から561兆円へ200兆円以上も積み上げられています。ところが、内部留保は賃上げや設備投資に使われず、賃金と固定資産(設備投資)はそれぞれ1・2倍と低迷(実質賃金は低下)しています。

 府内の大企業10社の内部留保は、同じ指標で比較可能な24年度と17年度(SGホールディングスが同年から上場し報告書を公開)を見ると、3兆8996億円増加(1・5倍)し、11兆6739億円にのぼります。内部留保が増加する一方で、これらの企業の従業員の給与は1・1倍しか伸びていません。企業のもうけが賃上げなどに回らず、内部留保の積み上げや自社株買いに資金が回っています。

ロームが来年2千億円予定

 府内では5社以外にもローム(京都市右京区)が27年から2000億円の自社株買いを行うことが報じられています(『日経』1月27日)。過去には、任天堂(京都市南区)が21年に1000億円と22年に663億円、「オムロン」(京都市下京区)が22年に200億円の自社株買いを行うなどしています。

 また、ニデック(旧日本電産、京都市南区)は、25年5月に最大350億円の自社株買いを発表しましたが、同年10月に不適切会計疑惑の調査が続いていることを理由に、自社株買いを中止することを決定。同社の不適切会計を巡っては、1月28日に改善計画・状況報告書を東証に提出し、過度な株式至上主義や、短期的な利益を最優先し、目標未達を許容しない企業風土などがあったことを原因としています。

企業・産業発展しない

 大企業の利益を大株主に分配する、「大株主ファースト」の経済では、賃上げや設備投資は低迷し、企業や産業も発展しません。米国やフランスでは自社株買いに課税するなどの規制に乗り出しています。

 しかし、高市政権は大株主ファーストの「資産運用立国」を続ける方針です。中道改革連合は政府系ファンドを創設して投資で財源をつくる「基本政策」を掲げます。政府が株価に振り回され、財源確保を理由に「大株主ファースト」に拍車をかけかねません。

 日本共産党は総選挙政策で、自社株買いを規制して「大株主ファースト」に歯止めをかける「労働者が生み出した富を、労働者の手に取り戻す大改革」を提案。大企業の内部留保に時限的に課税して、5年間で10兆円以上の財源をつくり、中小企業の賃上げへの直接支援の財源にすることなどを掲げています。