京都駅前(京都市下京区)の京都中央郵便局を市の高さ規制を大幅に超える約60㍍の複合ビルに建て替える計画が進行するなど、京都の景観が危機に直面しているもと、滋賀大学元学長で大阪市立大学名誉教授の宮本憲一氏が4月19日、「景観保全の歴史と京都の市民運動」と題して京都市内で講演し、「京都の景観の保全は市民の使命」と訴えました。

 同講演は、京都・まちづくり市民会議が「京都の景観」をテーマにしたシンポジウムの基調講演として行われました。

 宮本氏は、全国の都心部で超高層ビル中心の再開発計画が進んでいることに言及。京都市では2007年の新景観政策で、建物の高さは31㍍までとしたにもかかわらず、24年に全国の動きに呼応して一部地域で高さ規制が撤廃されたことを批判し、「超高層ビルの都市計画を許してよいのか」と述べました。

 現時点では、京都市内に超高層ビル計画の動きはないものの、京都駅前で高層ビル計画が進行し、仁和寺門前(右京区)などでのホテル建設に対し、住民の反対運動が取り組まれていることを紹介。「京都の都市格の条件である景観と歴史的建造物の保全は市民の使命」と述べました。

 併せて、環境権の一種である景観権を人権として確立する必要性を強調。現行の環境基本法を改正し、環境権を明記すべきと訴えました。

 この他、京都中央郵便局の高層建て替え計画や仁和寺門前のホテル、聖護院門跡(左京区)の南側の5階建てマンション計画に、それぞれ反対する住民らが取り組みの状況を報告しました。