ナンミャケーカイン准教授(左)とストーリーマンガコース講師のドウノヨシノブさん

 国軍による武力弾圧下で自由な表現を奪われたミャンマーの人々を励まし、支えようと、京都精華大学(京都市左京区)のマンガ学科の教員有志らが昨年6月に立ち上げた「WART」(和と芸術)の一コマ漫画展がミャンマー関西との共催で、6月22日から、京都市下京区のひと・まち交流館京都で開かれます(26日まで)。

 目耳口を軍服の兵士に押さえられた花を持つ少女、抵抗を示す三本指から血が流れる手の中に握られたハート…。昨年末から「WART」がネットで2回公募し、ミャンマーや韓国などから50作品以上が寄せられています。ネットで公開されているほか、これまで東京や静岡など4府県で展覧会を開いてきました。京都は5回目です。ミャンマー関西との共催です。

 「WART」は、漫画やイラスト、論文などで自由と平和な表現活動を支援する団体。きっかけは、ミャンマー人で昨春、同大学に特別任用准教授として就任したナンミャケーカインさん(50)が講演で「クーデターで変わった人生観」として語った内容に、共感した教員らが支援を申し出たものです。

 カインさんは高校生の時に民主化運動にかかわり、88年の軍によるクーデターの翌年、京都の立命館大学に入学。以来、日本で学んできました。2016年にスーチー政権が誕生しましたが、5年後には国軍のクーデターで再び弾圧が始まりました。ミャンマーの大学で学び、公務員となった友人たちは、抵抗運動に身を投じ、不服従運動で抗議活動を続けていると言います。

 カインさんの話に「漫画で協力したい」と申し出たのは、同大学マンガ学科ストーリーマンガコース講師・ドウノヨシノブさん(48)。ドウノさんは17年に調査でミャンマーに滞在。スーチー政権下で多くの人たちが温かく協力してくれたと言います。昨年2月のクーデターで、戒厳令が出されてから、ミャンマーの知り合いからのメールが既読になっても返信が来なくなったと言います。「なにもできない自分がもどかしく、何かしたいと思った」と言います。ミャンマーでは英国統治下の時代から一コマ漫画の文化があり、ミャンマーの人への激励になると考えました。恩師や知り合いに声をかけ、京都精華大学名誉教授の篠原ユキオさんらが賛同。同大学卒業生(韓国)からも作品が届きました。

 カインさんは「ミャンマーの国軍は2000人近い一般市民の命を奪い、逮捕者は15万人を超えています。漫画を通してミャンマーに関心を持ってほしい。日本政府には、従来からのODAを続けることで国軍を支援することや軍人の日本留学の継続を考え直してほしい」と訴えます。

 午前11時から午後6時(最終日は午後4時まで)。WARTのホームページ(http://2021wart.org

 問い合わせ✉2021wart@gmail.com、✉myanmarkansai2015@gmail.com