京都市伏見区の京都朝鮮初級学校は4月29日、当地での新築校舎竣工5周年を記念した大感謝祭を同校で行いました。保護者をはじめ、関係者、支援者らに授業やシンポジウムを公開し、野外フェスタで交流しました。

 開催2日前(4月27日)には、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長による、歴史的な南北首脳会談が行われたことを受けて、フェス会場には、会談の模様を伝える写真、軍事境界線なき朝鮮を表す「朝鮮半島旗」が掲げられた歓迎ムードのなか、歌や踊りなど民族文化で交流を楽しみました。

 「ウリハッキョの現在と未来~私たちが頑張れる理由」をテーマにした記念シンポジウムでは、金永柱(キム・ヨンジュ)教務主任、保健室のスタッフを務める佐藤友子・元高校養護教諭、保護者の宋基燦(ソン・ギチャン)立命館大学准教授が、発言者として登壇。

 金さんは、同学校が同胞や支援者の愛情で支えられ、子どもたち(4、5世)が、知識やアイデンティティー、多文化共生を育んでいる学校教育の特長について紹介しました。佐藤さんは、養護教諭の配置がない朝鮮学校でボランティアとして関わる立場から、「子どもたちのために活躍できる保健室を作ってほしい」と願いました。

 宋さんは、二重言語による文化的コミュニケーションの空間として、学校が子どもに良い刺激を与えており、そこに未来の可能性を感じると主張。南北首脳会談にもふれ、「日本も変わっていくチャンス。東アジアの中でどういう立場で行動するのか、重要な存在であることを見つめ直す機会ではないか」と話しました。

 あいさつした李東河(リ・ドンハ)校長は、全国的に朝鮮学校への補助金の削減、廃止など厳しい環境の中でも、子どもたちは元気に学んでいると強調し、「子どもの未来のために力を合わせ、すばらしい教育をめざす」と訴えました。