サギソウ 8月も最終日の31日。京都伏見の町屋の庭先にみごとな真っ白いサギソウが舞っていました。小さくてかわいいシラサギの花。鴨川や水田の白鷺(シラサギ)は小鷺でも鳩よりも大きいですが、手のひらに入るぐらいの小さなサギソウは名前の通り、サギが羽ばたく姿そのもの。
 サギソウはラン科ミズトンボ(ハベナリア)属でちなみに英語ではfringed orchid(ふさ飾りのついたラン)と言い和名のサギソウとは感じ方とらえ方が違うのでしょうか。
 ところで鳥のサギも野草のサギソウもどこででも身近に見られたのです。鳥のサギは鴨川や桂川、山科川や田園風景などで見られますが、湿地に生えるサギソウの方は都市化や自然環境の変化と一部の業者やランの愛好家が根こそぎ持ち去ってしまって今や絶滅寸前といわれています。サギソウの兄弟には同じく湿地に生える「ダイサギソウ」「ミズトンボ」「トンボソウ」や「コアチドリ」「イワチドリ」などいずれも白い花で羽を広げて飛ぶ姿を模して名付けられたのでしょう。(仲野良典)