日本共産党京都市議団(山中渡団長、20人)は5日、門川大作市長に対し、新型インフルエンザの影響で被害を受けた業者や市民の救済策などを求める申し入れをしました。

 申し入れでは、新型インフルエンザの感染者発生により、修学旅行のキャンセルが14万人も生まれるなど、観光業界を中心に多くの中小企業などが被害を受けていることを指摘。補正予算を最大限活用して、万全の対策を講じることや、○新型インフルエンザの影響・被害について市職員による実態調査を行うこと○影響・被害を受けている業界、商店街等に対する特別な財政支援を行うこと○6月実施予定の国保料値上げを凍結し、保険料減免制度を拡充すること○中小業者の仕事おこしに全力をあげること―などを求めています。

 申し入れの全文は以下の通り。


 新型インフルエンザ感染者の発生により、修学旅行や一般観光客のキャンセルが相次ぎ、観光関連業界をはじめ、経済活動や中小企業の経営に多大な影響が出ています。

 産業観光局の聞き取り調査では、修学旅行のキャンセルだけでも約14万人(6月1日現在)にも及んでいます。日本共産党議員団にも、「修学旅行の中止などで料理300万円、飲み物80万円の損失。仲居さんも休ませている」(東山区の旅館)、「タクシー500~600台がキャンセル」(タクシー事業者団体)、「ホテルからの受注がキャンセルになり、食材を破棄した」(京都市内の業者)などの声が寄せられています。

 こういう事態の下で、本市は緊急対策として中小企業支援センターに特別経営相談窓口の開設、「中小企業緊急資金対策融資の返済据え置き期間の一年延長」をはじめ、「新型インフルエンザ緊急融資(長期と短期)」の創設などの対策を講じていますが、休校やイベントの延期など、「行政的指示」によって生じた様々な被害には、行政の責任によるきめ細やかな対策がさらに求められています。

 昨年から続く経済危機に加えての今回の突発的被害によって、雇用を始め生活と営業の厳しさは深刻さを増すばかりです。6月の臨時市会において提案・議論される補正予算も最大限活用して、万全な対策を講じられるよう要望します。

1.新型インフルエンザの影響による中小零細業者の大幅な収入減等の実態について、業界団体とも協力し、本市職員による緊急の調査を行い、全容を把握すること。

2.影響と被害を受けている業界・中小企業・零細業者、商店街に対する特別な財政支援措置を実施すること

  • 政府系金融機関が特別な支援措置を実行するよう国に求めること。
  • 創設された緊急融資制度に関して、融資条件(売上げ減少)のさらなる緩和をはかるとともに、審査日程を大幅に短縮して、資金繰りに機動性を持たせること。さらに、利子補給をおこなうこと。
  • 既往融資の条件変更や返済猶予措置を講じること。さらに、固定経費(電気・水道代、家賃など)への補助制度を創設すること。
  • 観光地などでは地域全体が大打撃を受けていることから、地域経済救済のために、大幅な収入減に対する損失補填など緊急支援措置を講じること。
  • 旅行の中止等に伴うキャンセル料等について、旅行業者・観光関連事業者双方に負担が生じないよう補償制度の創設など特別の措置を講じること。
  • 学校給食等の食材納入業者に対し、休校等により生じる損失補填を行うこと。
  • 今後予想される保育所休園、学校休校、福祉施設の休所などで仕事を休まざるを得なかった保護者、家族等が不利益な扱いを受けないよう事業所に要請すること。また、予防のために休業措置をとった場合の賃金保障を行うこと。
  • 観光客誘致のためのPRやイベントの開催など、特別な集客支援策を実施すること。

3.市民のいのちと暮らしを守ること

  • 6月に実施予定の国民健康保険料値上げを凍結し、保険料減免制度を拡充すること。
  • 保険証の取り上げを中止し、正規の保険証をただちに交付すること。

4.仕事おこしに全力をあげること

  • 市営住宅の空き家整備を抜本的に強化し、住宅困窮者の入居に活用すること。
  • 耐震改修助成制度の充実と住宅改修助成制度の確立を行うとともに、公的施設の耐震化工事や小規模改修など生活関連の公共投資の前倒し発注を行い、中小業者の仕事おこしにつとめること。