ネパールの秘境、ムスタンの高地で果樹や水稲などの農業技術指導を行っている近藤亨さん(87)が21日、下京区の杉本家で講演会を行い、50人余が聞き入りました。同家の杉本千代子さんのご縁でムスタンに帰る直前に講演が実現したもの。
 近藤氏は出身地の新潟大学農学部助教授を経て、同県の園芸試験場の研究員となり、76年から国際協力事業団の果樹栽培専門家としてネパールで指導を続けてきました。70歳からはムスタンに移住し、現地の人々と労苦をともにしています。
 講演では、年間雨量150ミリ足らずという荒地でリンゴ、メロン栽培を行い、標高4000メートルで米作りやヤク、ホルスタインの飼育を成功させた苦労の一端を話しました。
 近藤氏は「研究員で訪れた時、貧しい暮らしぶりを見て、この人たちに腹いっぱい食べてもらいたい。日本の農業の高い水準を世界に知らせる良い機会。わしにならその技術がある」との動機を語りました。また、日本の農業が疲弊し、輸入に頼っているということについて「日本は農業に適した国。政府はソロバンばかりはじかないで、自分の国で作った安全なものを子どもたちに食べさせて欲しい」とのべました。
ネパール・ムスタン地域開発協力会http://mdsa.info