京都市立小中学校に勤務する教員9人が京都市に対して超過勤務の是正を求めていた訴訟の判決が23日、京都地裁であり、中村哲裁判長は、原告の1人に長時間労働に対する安全配慮義務違反を認める画期的判決を下しました。
 訴訟は04年1月に、毎月平均80時間を超える残業を強いられている実態を変えようと、「超過勤務を是正してもっと子どもたちと向き合う時間を」と訴え、損害賠償と慰謝料を求めていたもの。
 判決では、超過勤務が月100時間超の教員1人について、「健康の保持に問題になる程度の少なくない時間外勤務をしていたことを踏まえると、それによって法的保護に値する程度の強度のストレスによる精神的苦痛を被った」として、違反を認定し、慰謝料50万円の支払いを命じました。残り8人の訴えは棄却しました。
 判決後の報告集会には京都市教組をはじめ原告団の支援者ら約80人が参加。塩貝光生団長は、「提訴以来4年越しのたたかいで、一穴とはいえ打ち破ることができました。この判決をさらに前進させ、教師が子どもたちと向き合える教育現場を取り戻したい」と語りました。
 弁護団の村山晃弁護士は、「校長や教育委員会に長時間労働の安全配慮義務を問うた判決の意義は大きい。学校現場に長時間労働がまん延していることを認め、違法と認定したことを武器に運動を前進させたい」と話しました。