長谷川みゆきさん

 向日市で絵本の店を開いて31年になります。いろいろな絵本を扱っていますが、とりわけ大事にしているのが戦争・平和をテーマにした作品です。

 何度読んでも涙がこぼれるのは『すみれ島』(今西祐行・文、松永禎郎・絵、偕成社、1991年)です。

 鹿児島県の知覧飛行場から特攻隊員として飛び立つ若者と近くの小学生たちの交流を描いています。子どもたちがプレゼントしたスミレを手に飛び立った特攻隊員。戦後、彼が亡くなった南の島でスミレが咲き誇っていたというお話です。

 祖父は東京の飛行機工場で働いていて空襲に遭いました。特攻隊員の訓練基地近くに疎開した母は、知覧へ向かう兵隊さんと手紙で交流をしており、その手紙が今も残っています。

 私は15年ほど前に知覧特攻平和会館を訪ね、特攻隊員らの遺書や遺品を見ました。お母さんへ、子どもたちへと、本当に美しい文字で書かれていました。どんなに悔しかったろう、つらかったろうと思います。

 今もウクライナやガザで戦闘が続き、子どもたちが大変な惨禍の中にいます。ウクライナ戦争に抗議する絵本、24人の絵本作家による「ちきゅうパスポート」(2023年、BL出版)を紹介したり、ガザの子どもたちを支援する写真展も開いてきました。絵本を読む幸せな時間を戦争で奪われてはいけない。

 憲法9条を持つ日本が戦争を起こすかもしれない、そんな危機感をひしひしと感じます。軍事費の急増や自衛隊基地の増強、「台湾有事発言」など、あってはならないことです。子どもたちの幸せを願い、絵本屋として今私たちにできることを伝えていきたい。