核兵器禁止条約、核抑止論、被爆者援護問う 核廃絶ネット京都が参院京都選挙区候補に公開質問/共産・倉林氏、立憲・山本氏、れいわ・西郷氏の3人が回答

「核兵器廃絶ネットワーク京都」はこのほど、参院京都選挙区の予定候補者8氏(6月13日段階)に回答を求めていた「核兵器禁止条約の関する公開質問書」について、回答結果を公表しました。
同ネットは6月13日に各予定候補を訪問し、同30日までに回答を要請。回答したのは、日本共産党の倉林明子候補、立憲民主党の山本和嘉子候補、れいわ新選組の西郷南海子候補の3氏。自民党の西田昌司候補、日本維新の会の新実彰平候補、国民民主党の酒井常雄候補、参政党の谷口青人候補、無所属の二之湯真士候補の5氏は無回答でした。諸派の木村嘉孝候補は当時、立候補の表明前だったため、対象外です。
各候補の回答とコメントは以下の通りです。
問1「日本被団協のノーベル平和賞について」
【倉林候補】評価する。「被団協のみなさんが、被爆の実相と核兵器の非人道性を語り続けたことで、核兵器全面禁止を求める国際的な大きなうねりを生み出してきました。心からの敬意を表明するとともに、ノーベル平和賞の受賞を私も喜んでいます」
【山本候補】評価する。「日本被団協が長年にわたって被爆の実相を世界に伝え、核兵器の非人道性と廃絶の必要性を訴え続けてこられた努力の成果であり、改めて敬意を表します」
【西郷候補】評価する。「核は不要であることが改めて世界へのメッセージとして発信されたから」
問2「日本政府が核兵器禁止条約に批准することについて」
【倉林候補】批准すべき。「日本政府こそ率先して批准し、核廃絶を世界に向けて訴えるべきです。現在、署名国は国連加盟国の過半数に迫る94カ国、批准は73カ国に達しています。核兵器使用の現実の危険が高まる中、核兵器禁止条約が重要な役割を増しています」
【山本候補】批准すべき。「核兵器禁止条約は、日本被団協をはじめとする皆様の長年にわたる運動の結実ともいえるものであり、批准に向けた動きを進めるべきです」
【西郷候補】批准すべき。「なぜ批准しないのか全く理解できない」
問3「2021年に核兵器禁止条約が発効して以降、3回の締約国会議が開かれましたが日本政府は参加していません。来年には初めて再検討会議が開かれます。日本政府の取るべき態度は」
【倉林候補】オブザーバー参加すべき。「日本はオブザーバー参加を含め、会議に関与すべきです。日本共産党は、これまで行われた第1~3回締約国会議に参加し、日本政府の会議参加と条約批准を求めてきました。日本がこれまでオブザーバー参加すらしてこなかったことに対して、『核廃絶の国際的議論から逃避している』と多くの国々から批判されています」
【山本候補】オブザーバー参加すべき。「核の脅威が増す現状を憂慮しており、日本政府は核兵器禁止条約締約国会議に少なくともオブザーバーとして参加すべきと考えます。なお、立憲民主党からはこれまでも議員派遣をしてきており、今年3月の締約国会議では党所属の参院議員が日本の国会議員として初めて発言しました」
【西郷候補】オブザーバー参加すべき。「なぜオブザーバー参加しなかのか全く理解できない」
問4「日本がアメリカの『核抑止力』を安全保障の柱にしていることに対して」
【倉林候補】転換すべき。「『核抑止』論こそが、核廃絶の最大の障害となっています。政府が、ヒロシマ・ナガサキの惨禍の非人道性を認めながら、核兵器の使用を前提とした『核抑止』政策をとることとは根本的に矛盾します。『核抑止』論から脱却し、核兵器禁止条約への参加を決断すべきです」
【山本候補】どちらともいえない。「日米安保体制は、日本自身の防衛体制とあいまって安全保障の基軸であると考えます。日本周辺の安全保障環境を踏まえると、抑止力と対処能力を総合的に備えることは現実的な安全保障戦略です。一方で、わが国は唯一の戦争被爆国として、核兵器の非人道性を訴え、核廃絶に向けた働きかけをおこなっていかなければなりません。NPTをはじめ核軍縮・軍備管理体制の維持・強化を追求すべきです」
【西郷候補】転換すべき。「核を肯定することは許されない」
問5「日本被団協の田中煕巳代表委員がノーベル平和賞授賞式において、被爆者に対する国家補償がされていないことについて発言されました」
【倉林候補】国家補償の道を開くべきだ。「田中さんはノーベル平和賞授賞式の演説で、被爆者は受忍論にあらがい、『原爆被害は戦争を開始し遂行した国によって償われなければならない』と強く求めてきたと語りました。まさにその通りです。国は被爆者援護法を制定しましたが、社会保障施策の枠を出ません。国の責任を認めないものです。日本政府は原爆被害者に国として補償すべきです」
【山本候補】国家補償の道を開くべき。「被爆者やその家族、それを支える人々の意見に向き合い、被爆者援護施策の一層の充実を図るとともに、訴訟によらない全面解決を図るため。原爆症認定制度の抜本的な見直しを行います」
【西郷候補】国家補償の道を開くべき。「田中氏の発言の通り」