新調された横断幕と原画を描いた幸野さん(左から2人目)ら「6・9行動」参加者(9日、清水寺)

 京都教職員組合女性部が始め、毎月、清水寺で取り組んでいる「6・9行動」で、石垣に掲げている横断幕(縦約90㌢、横250㌢)が、4月から新調されました。同寺の仁王門の朱色と青い空に映え、参拝者に向けたアピールとなっています。

 横断幕は、右端でピンク色のチューリップの花束を抱える女の子が印象的。左端には朽ちて錆びた核兵器の山を配し、飛翔する鳥たちがオリーブの葉を女の子のもとへ運んでいるデザインです。「教え子を戦場に送らない」の言葉と、海外からの観光客にもわかるよう英語表記で、「核のない世界のために署名して下さい」のメッセージを記しています。

 原画を手掛けたのは、元京都市立高校教諭の幸野理乃さん(66)=京都市=。「平和」「知恵」を花言葉に持つオリーブに着想を得て、核兵器と対照的に子どもとオリーブを平和の象徴として描きました。女の子のモデルは実孫(当時2歳)。「知恵を働かせて平和を維持する願いを込めました」

 クレヨンと色鉛筆のやわらかい発色のなかで、核兵器と飛ぶ鳥の存在感を出すため、紙に描いて切り抜いたモチーフを貼ったり、重ねて立体感を加えました。横断幕は、この原画を耐久性のある素材に印刷したものです。

 長崎原爆犠牲者の月命日の9日は、幸野さんや同女性部OB、退職教員らが参加。コロナの影響で減っていた参拝客も戻り始める中、「日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名」を呼びかけました。

 修学旅行生、学生を案内するタクシー運転手らが署名する姿が目立ち、長崎県から来た被爆者とも対話になりました。署名に応じた中学生らは、「核兵器はいらない」「各国の徴兵制もなくしてほしい」と話していました。