行財政審議会の中止を求め市役所前で宣伝する市民ら(11月4日)

 京都市が設置した、暮らし・福祉の大リストラのための「持続可能な行財政審議会」の第4回が11月4日、行われました。市は、現状のままでは2028年度には「財政再生団体」に転落する可能性があると述べ、受益者負担の「適正化」や他都市水準を上回る施策の見直しが必要と強調。その一方で、不要不急な大型公共工事の見直し・中止については言及しませんでした。一部委員からは、福祉削減一辺倒の市の姿勢を容認し、「サービスの大幅カットが必要。ない袖は振れないと市民にはっきり言うべき」などする発言が相次ぎました。

 市は、財源不足は本年度193億円で、現在の「行革」を実施しても2033年度までに毎年約340億~500億円の不足が出ると予測。これまで、不足を補うために、将来の借金返済のための「公債償還基金」の取り崩してきたものの、26年度には枯渇すると試算しました。そのため、同基金の一定の残高を維持するために、25年度までに合計780億円、26年度~33年度までに2640億円の財源が必要と強調。今後、行財政「改革」の重点項目とし○税収増加○自助・共助・公助の役割分担の見直しによる施策の転換─などを列挙しました。

 福祉をはじめ「聖域なき改革」と言いながら、その一方で、不要な大型公共事業である、北陸新幹線整備や堀川通バイパス整備については、巨額の財政負担が予測されるにもかかわらず、市の負担額は未定などとして、見直しの対象には挙げませんでした。

 複数の委員がこうした市の姿勢に発破をかけ、「急激なサービスカットはハレーションも起きるが、大改革が必要」「今までのサービスに市民が甘え過ぎてきた。公債償還基金を使ってサービスを維持してきたのがどうだったのか、反省が必要」「市の独自施策は見直すべき。みんなの税金だから使わないと損だというような考え方はやめるべき」と発言。さらに、コロナ禍の状況について、「(サービスカット)を市民に説得するのはいい期間。今のチャンスを生かすべき」などと述べました。

削減の矛先は「福祉施策」だけ、市役所前で宣伝

 第4回の「持続可能な行財政審議会」開催に合わせて、4日朝、市民らが「市民生活守る制度のリストラ前提の審議会は中止を」と訴え、市役所前(中京区)で宣伝しました。

 約30人が参加し、梶川憲・京都総評議長ら6人がマイクを握りました。日本共産党市議団の加藤あい幹事長は「行革というのなら、不要不急の大型公共工事の見直しこそ必要だ。市の矛先は、市民のための福祉施策でしかない」と訴え、市の姿勢を批判しました。