布施祐仁さん

 安保破棄京都実行委員会は11月22日、京都市中京区のラボール京都で、ジャーナリストの布施祐仁さんを講師に、自治体による自衛隊への名簿提供問題などについて考える学習会を開きました。約70人が参加しました。

 布施氏は、自衛隊の募集をめぐる状況について、主に少子化を背景に厳しい現状があることを強調。加えて、安倍政権による集団的自衛権行使容認と安保法制成立により米国のための戦争に自衛隊が巻き込まれる危険性が現実味を帯びるもと、志願者の減少につながっていることを指摘しました。

 自衛隊では人材確保のために、学校と自治体の協力を重視していると報告。学校では、小学校における「出前授業」や中学生を対象にした「職場体験」、高校での「就職説明会」などを通じ、戦略的に自衛隊を選択してもらえるよう取り組んでいると解説しました。

 自治体との関係では、1966年から自治体の協力を得て行う「組織募集」を推進してきたことを強調。理由として、適齢者の「名簿」など効率的な募集に必要な個人情報を所有しているのが自治体であることを上げました。

 また、徴兵制を廃止した米、独の両国においては、緊急時の徴兵のため徴兵名簿を整備する制度は残されているとし、「名簿づくりは徴兵制のベースになることは見ておく必要がある」と警鐘を鳴らしました。

安倍首相の憲法観浮き彫り「人権や地方自治よりも『国防』」

 その上で、9条に自衛隊を明記する改憲の理由に、安倍首相が個人情報の提供に「非協力的」な自治体の存在を上げたことを指摘し、「安倍さんの憲法観が象徴的に表れている。つまり、人権や地方自治より、国防のためなら、自衛官募集を優先できるというもので、まるで戦前の考え方だ」と述べました。

 主催者を代表し、京都平和委員会の片岡明理事長があいさつ。京都教職員組合から、舞鶴市の海上自衛隊が職場体験において中学生に機関砲を操作させていた問題についての報告が行われました。