最低賃金1500円の実現とともに、中小企業が潤う京都経済を展望して、府政の役割を考えようと「京都の底上げを! シンポジウム」が12日、京都市中京区の京都アスニーで開かれました。

 「エキタス京都」、京都総評、自由法曹団京都支部が主催した初企画で、120人を超える参加がありました。

 シンポジウムに先立ち、京都大学大学院の岡田知弘教授が「憲法と地方自治を暮らしに生かす地域づくり」と題して講演。岡田氏は、安倍政権のもとで優遇される大企業や富裕層への政策を、国民生活の向上第一に変えることの重要性と同時に、地方自治の行財政権限を生かして、住民の暮らし、中小業者の経営を守ることができると強調しました。

 地域経済の底上げでは全国的に、中小企業振興基本条例と公契約条例の制定が広がっているが、京都府は振興条例を制定していない4都府県の1つで、実効性のある公契約条例もなく、「自治体の力が発揮しきれていない」と評しました。

 シンポでは、中小企業で働く石川優さん、人見建設の人見明会長、京建労の酒井仁巳書記長、京都総評の梶川憲議長、岡田教授の5人が登壇し、「エキタス京都」の橋口昌治さんがコーディネーターを務めました。

 最低賃金を引き上げるための中小企業の課題について発言した人見氏は、給与に占める社会保険料の負担率が34・5%と大きいことをあげ、「制度の進んだ国では中小企業への補助がある。日本のように大企業と同率では中小企業での時間給1500円(への実現)は難しい」と話しました。

 京都府の公契約条例の問題点について酒井氏は、「公契約大綱という理念大綱であり、条例でもなければ、賃金下限規定もない」と指摘し、設計労務単価が上がったにもかかわらず、労働者の賃金アップにつながっていない現状を紹介しました。

 梶川氏は、働くものの懐を温めて地域経済も元気にしようと作成した京都総評の「提言」について説明しました。

■福山氏が参加「政策として」

 シンポには、府知事選に立候補を表明した福山和人弁護士も参加。「シンポで伺った話を実際の政策として実施する立場に就きたい」と決意を語り、地域循環型経済の提案が、大企業も含めた地域経済発展の道につながることを、京都財界の人にも伝える工夫をしたいと述べました。

(写真=発言する〔左から〕岡田、梶川、酒井、人見、石川の各氏と橋口氏

(「週刊京都民報」2月18日付より)