京大賃下げ第1回口頭弁論 京都大学の教職員ら約100人が大学に対し、賃下げは違法と訴えている裁判の第1回口頭弁論が10日、京都地裁で行われました。原告を代表して高山佳奈子京大職員組合前委員長が意見陳述しました。
 賃下げは、政府が東日本大震災の復興財源確保を理由に国家公務員の賃下げを行ったのに伴い、国立大学法人に賃下げを要請したことを受けて実施されたもの。政府は、国家公務員に準じた賃下げ分の大学への運営費交付金を削減しています。
 意見陳述で高山氏は、復興財源確保を理由とする賃下げについて、国家公務員や国立大学法人の賃下げ対象が被災地に及んでいると指摘し、「まやかし」と批判。削減された賃金が被災と関係のない事業に使われているとして、「財源が何に使われたのかについては、全く検証が行われていない。このような不正義は到底許されません」と述べました。
 また大学側が賃下げしなければ事業ができない「内在的制約」があると主張していることを指摘し、「京大はそのような事態にはない。団体交渉において、財源がないということを認めていない。京大の、運営費交付金削減の場合に賃金から減らすという方針は、労働法の基本的な考え方に反する」と批判しました。
 口頭弁論後開かれた報告集会で、京大職員組合の西牟田祐二委員長は、大学側が国の要請を理由に賃下げしていることについて、「自主性があり、学生に批判精神を教える大学として信じられない主張」と訴えました。また、大学側が高山氏以外に賃下げに異論を訴える者がおらず、「黙示の同意」があったと述べていることを指摘し、「多くの仲間が声をあげていることを見せよう」と傍聴参加を呼びかけました。