クサギ 連日強烈な残暑がつづく京都。熱中症で運ばれる人が絶えない日々が続いています。
 宇治川天ヶ瀬ダム界隈の森林も猛暑で、宇治川の川面が太陽にぎらついています。昨年の大雨で周辺部は災害が発生し、復旧工事が進められていますが、巨大な樹木が川に倒れていたり、至る所に倒木が絡んでいます。そんな中、宇治川の右岸の崖っぷちの道ばたに自生するクサギが白い大きな花をいっぱい咲かせています。
 クサギは、北海道から沖縄までどこにでも見られるごく普通の木です。クサギ(学名Clerodendron trichotomun:ギリシャ語でclero=「運命」/dendron=「樹木」/trichotomum=「3分岐の」という意味)は、セイロン島で2種類あって「幸運の木」と「不運の木」と呼んだと伝えます。和名は臭気のためにクサギ(臭木)。葉っぱをもんだり傷の付いた樹皮を嗅ぐと不快と感じる人がありますが、甘い香りと感じる人もいます。
 花はとても甘い香りがします。ヨーロッパでは鑑賞ように庭園に植えられたりします。若葉は、山菜になり加熱すると臭いも消え、天ぷらなどにすると美味しいと言われます。
 葉は、30センチくらいと大きく、花は枝先につけ、花びらは萼(がく)から長く突き出して白く(紅色もある)、雄しべ4本と花柱が突き出ています。9月頃になると緑色の萼がしだいに赤くなり甘い香りを漂わせるようです。受粉して瑠璃色の実をつけます。アゲハチョウ、スズメガやコウモリガなどが訪花し、実はキジバト、シジュウガラ、ヒヨドリやムクドリなどの好物ですぐ無くなってしまうようです。(仲野良典)