ヒルガオ 6月中旬頃から鴨川の水際に真夏を告げるピンクのヒルガオ(写真は7月2日国道24号線勧進橋付近)が咲き始めました。アサガオ(朝顔)、ヒルガオ(昼顔)、ユウガオ(夕顔)とヨルガオ(夜顔)と一日の時刻によって漏斗状(ロウトジョウ)の花を付けます。アサガオ、ユウガオとヨルガオは栽培種ですがヒルガオは自生で土手や野原、道ばたなどどこにでも咲いています。しかし、アサガオ、ヒルガオとヨルガオはヒルガオ科で同じ仲間ですが、ユウガオはまったく別のウリ科でヒョウタンやヘチマと同じ仲間で、その果肉を細薄く剥いて作ったのがカンピョウ(干瓢)です。
 ヒルガオ(漢名は旋花:学名Calystegia japonica:カリステギアは「萼が覆われている」という意味。地方では「雨降り花」「雷花」と言われて、たくさん花を付けると雨が降るとか(雨降花はホタルブクロ、モクレンやリンドウ)、逆に「日照草」などとも名付けられています。また「畑花」「割烹花」などとも言われているそうです)は煎じて利尿薬などにもなります。つる性で多年草ですが、アサガオと違って結実(種)はほとんどせず、地下茎が(切っても切っても)頑強に四方八方どんどん広がる野草(雑草)です。同じヒルガオ属には少し小さいコヒルガオはとてもよく似てかわいいです。また海岸や浜に一面に咲かせるハマヒルガオもヒルガオ属です。ヨルガオ(「夜会草」とも)は1年草で夕方から夜にかけて純白で香気を放ちます。(仲野良典)
 「高円(たかまと)の野辺のかほ花面影に 見えつつ妹(いも)は忘れかねつも」(大伴家持)[注・この歌の「かほ花」は「ヒルガオ」がふさわしいとの説。東方出版刊『やまと万葉集』]