カラスウリ 厳冬を耐えて越年したカラスウリが2月に入っても伏見区の桃山陵参道の大木にからみつきて垂れ下がっている蔓に赤い実を付けています(写真)。
 カラスウリ(ウリ科カラスウリ属カラスウリで学名=Trichosanthes cucumeroides、漢字名=烏瓜、多年草)の果期は10~12月ですが、周りは緑一色なのでちょっと注意すれば紅熟した6㌢ほどの卵形の実(雌株のみ)が目に入ります。名前の由来は実がウリに似て、カラスが好んで食べるから(実際の観測例はほとんどない)とか、いつまでも残っておりカラスの食べ残したようなところからなど諸説あるようです。種子は1センチほどで、玉章(タマザス:形が艶書の結び文に似ているからで結状とも。また、種子が大黒さまに似たり、打ちで出の小槌に似ているとか。だから種を財布に入れてお金が貯まるようにと縁起をかつぐ人もあるそうです)と呼んでいます。
 他にキツネノマクラやツチウリなどとも名付けられています。仲間にはキカラスウリ(実は黄色で甘く鳥がよく食べる)、モミジカラスウリやスズメウリなどがあります。
 カラスウリは珍しい花を7月~9月につけます。夕方から夜にかけて5弁(4弁や6弁もある)の白い花が1晩だけ咲きます(このような1夜花にはユウガオやゲッカビジンなどもあります。しかし観るチャンスがなかなかありません)。この花の周りに7センチ~10センチほどの純白のレース状、もしくは編状の幻想的な花をつけ、夜でも目立ち、スズメガを呼び寄せて受粉し、効果抜群でしょう。
 ところで、大木にからみついて花を咲かせ、実を付けてから先端が地面に向かって垂れ下がり、地中に潜る変わった蔓で、この蔓の先端に芋(塊根)を作ります。デンプンやタンパク質がいっぱいの塊根で越年して新しい芽を出していきます。(仲野良典)
「まっかだな まっかだな からすうりって まっかだな とんぼのせなかも まっかだな 夕焼雲を ゆびさして まっかなほっぺたの 君と僕 まっかな 秋に よびかけて いる」(薩摩忠作詞)