ウキツリボク 西京区の渡月橋西側からの旧嵯峨街道を少し南下したところにある西光院という寺院門前垣根に、真っ赤で愛らしいウキツリボクがひっそりと咲いています。
 ウキツリボク(Abutilon megapotamicumブラジル原産:メガポタミクムは「リオ・グランデ河の」という意味)の和名は花が宙に浮いているところから「浮釣木」。日本には明治期に渡来しました。単生して枝は垂れ下がり、1メートル~1.5メートルほどの常緑小低木です。葉っぱはハート形で5センチ~10センチ、約20センチほどの背丈になると、小さなかわいい赤い花(萼は丸みのある筒状)をつけます。花弁は鮮黄色で5稜形で、濃いすみれ色の雄しべが突き出しています。開花は冬から夏まで長く続きます。
 西光院は平安末期の僧で歌人としても有名な西行法師が出家直後に庵(いおり)を結んで住んだことを起源としたと言われています。境内の建築物も含めて変遷があり、現在は二尊山西光院といわれ、本尊阿弥陀如来立像2体のほか子育観音菩薩や西行法師旅休座像などが安置されています。拝観は無料で自由ですが、住職不在時は閉門しています。(仲野良典)