民主党政権が定期検査で停止している関西電力大飯原発3、4号機について福井県などに再稼働への同意を要請している問題で、危険な再稼働に反対する声が広がっています。専門家の指摘を紹介します。

水素爆発やベント過酷事故対策なし

再稼働の危険を告発する(2) 2月に行われた大飯3、4号機のストレステスト意見聴取会で、井野博満さんや私は徹底した安全対策を求め審議を続けるよう要望しましたが、一方的に議論を打ち切られました。委員である私たちには知らせずに、マスコミには「これで終了」と情報を流していたようです。何が何でも原発を動かしたいというのが国や保安院の思いなのでしょう。
 政府はストレステストは1次評価で「妥当」とし再稼働に進んでいますが、主要な過酷事故対策の2次評価は行われていません。4月1日に発足予定だった「原子力規制庁」はできておらず、国が原発の安全対策を行う枠組みもありません。福島原発事故の原因究明もされておらず、原子力安全委員会も安全であるという評価をしていません。
 関電は再稼働にあたり、30項目の安全対策を打ち出しました。まったく不十分な対策だと考えますが、これらもまだ実施されていない項目が多くあります。例えば、防潮堤のかさ上げや水素除去装置は1年後、放射能を外部に出さないためのベントフィルターや免震事務棟は3年後に完成予定などと、重要な対策が完成していません。もし津波や地震がきたらどうするのでしょうか。
 そもそも大飯原発など加圧水型の原子炉では、確実な水素爆発対策がされていません。水素爆発は最も危険な過酷事故のひとつです。こんな対策もできずに再稼働を進めるのは信じられません。
 30項目すべてやっても不十分ですし、地震や津波などの過酷事故に対応する原子炉にしようとすれば、本来はゼロから原子炉を作り直さなければなりません。今の状態で再稼働するのは暴挙です。(「週刊しんぶん京都民報」2012年4月29日付掲載)