金剛流宗家らがトーク 能や歌舞伎の世界を題材に染色の作品を創作する特別展「歌舞伎と能を染める」(5月27日まで)のトークイベントが26日、会場の染・清流館(京都市中京区)でおこなわれました。金剛流能楽師・金剛永謹さんと、出品した作家の今井誠志さん、髙谷光雄さん、栗原知枝さんが出演。美術評論家の深萱真穂さんが司会を務めました。
 金剛さんは、能の紹介をしたうえで、歴史についてふれ、江戸時代までは演目と幅を広げていったのにたいし、江戸以降は演目は増やさず「深みを深めていった」と指摘。伝統の継承について、「伝統は積み重ね。いじっちゃいけないものがあるが、つけくわえていいところはみんなが足してきた。そのままやっていては細くなってしまう」と語りました。
 作家は、「緊張感とあらあらしさ、品がある能の『道成寺』にはまった。ぼくが演じている錯覚をもってつくった」(今井さん)、「運命に向かってたたかい、自分の考えを貫いた『頼政』に自分を重ねた」(髙谷さん)、「『道成寺』には娘のくるおしい恋心がはいっていると思った。足さずに舞台にあるものだけを描いた」(栗原さん)などと語りました。