京大日食展 282年ぶりの金環日食(5月21日)を前に、日食をめぐる古文書から最新研究までを紹介する特別展「京大日食展 コロナ百万度を超えて」が25日から京都大学総合博物館(京都市左京区)で始まります。
 京都大学は、戦前から世界各地に皆既日食観測隊を送り出し、コロナの白色分光や彩層光象などのデータを収集・解析し、国際的な太陽物理学の発展に貢献してきました。同展では、こうした観測隊の記録を山本一清・京大花山天文台初代台長が1937年にペルーで撮影した日食の貴重な映像資料も交えて紹介。
 また、今秋公開の映画『天地明察』の主人公で、日本独自の暦を初めて作った京出身の天文学者・渋川春海の業績を、撮影にも使用された当時の観測装置である「渾天儀(こんてんぎ)」「象限儀(しょうげんぎ)」の復元模型とともに展示。このほか、日食にまつわる古代の神話や史実の解説や宇宙天気予報、宇宙太陽光発電など世界をリードする応用分野の研究を紹介しています。
 花山天文台第3代台長を務めた宮本正太郎は、1941年に太陽コロナの温度が100万度~200万度であることを解明し、世界の太陽研究者を驚かせました。大野照文館長は、「今展をきっかけに、研究者や学生、子どもたちが宮本の偉業を超えるような新たな発見を生み出すことを期待しています」と話しています。
 5月20日まで。9時半~16時半。月火休館。一般400円、高校生・大学生300円、小学生200円。問い合わせTEL075・753・3272(同博物館)。