日本共産党京都市議団(山中渡団長、15人)は15日、市が10月に発表した「基本計画」実施計画骨子について、「市民負担増、市民いじめの『行革』を一層進めるもの」と批判する「見解」を発表しました。以下、全文を紹介します。


(見解)
「はばたけ未来へ!京プラン」(京都市基本計画)実施計画骨子について

2011年11月15日
日本共産党京都市会議員団

 京都市長は、昨年策定した「はばたけ未来へ!京プラン(京都市基本計画)」を具体化する4年間の実施計画の骨子を、10月24日に発表しました。市民意見を募り、今年度内に実施計画を策定するとしています。計画の期間は2015年までの4年間で、11の重点戦略を推進する政策編といっそうの「行革」を進める改革編とで構成されています。(京都市公式HP、京都市情報館に掲載中)
市民の意見を無視した政策が重点戦略に
 戦略を先導する象徴的な事業(リーディング・プロジェクト)として、(1)自ら定めた高さ規制を緩和する岡崎地域や山ノ内浄水場跡地の活用(2)オリックスの水族館建設が進む梅小路公園の魅力向上(3)四条通の「歩道拡幅」など、市民合意がないままの事業が位置づけられています。さらに、2015年に耐震化率90%を目標としている自らの耐震改修促進計画には全く触れていません。
さらなる「行革」をすすめる宣言
 今回の骨子は、昨年の「財政改革有識者会議の提言」を受けて、「持続可能かつ機動的な財政運営」の確立を目指すとして、その土台は「行政経営の大綱」だと、財政健全化が最大の目標となっています。そのために、2015年までに、総人件費では毎年11~12億円削減し、4年間で112億円、事業の見直しは毎年25億円、4年間で250億円を削減する数値目標を盛り込んでいます。社会福祉関係経費、繰り出し金なども削減するとしており、福祉切り捨てと市民に痛みを求める聖域なき「行革」を宣言したものとなっています。明確な削減額を示す一方、どのような施策を削減するのかについては、具体的な内容はほとんど明記していません。検討内容は隠したままの市民意見募集では、市民の意見を聞いたことにはなりません。
市民負担増、市民いじめの「行革」は許されない
 現在、庁内では削減の対象として、大規模事業(物件費と人件費の合算1億円以上、かつ物件費が5000万円以上)65項目115事業の点検・分析を進めています。115事業の内、およそ半分の52事業は保健福祉局の事業となっています。その中には、有識者会議の提言でも見直しの対象としていた敬老乗車証や母子家庭等医療費支給制度、学童う歯対策事業をはじめ、国民健康保険への一般会計繰入金、高校生奨学金などまで含まれています。
 さらに、財政有識者会議で具体的な見直しが求められていた市税軽減措置は、「公平性や合理性を欠くこととなった」と見直しの方向を明記しています。個人市民税軽減措置が廃止されれば約8万人、影響額は6億円に及ぶだけでなく、非課税世帯が課税世帯になれば、公共料金などの負担増にも連動します。削減を実施すれば市民生活に多大な影響を及ぼすことになることは明らかです。新たに森林環境税を検討するとしていますが、詳細の記載はありません。
借金を積み増し、基金を取り崩す財源対策
 「未来まちづくりプラン」(2009年1月策定)以後、毎年の予算編成での「財源不足」を口実に、特別の財源対策とし、行革推進債の発行と公債償還基金の取り崩しを進めてきました。今回のプランでも引き続き、毎年100億円規模の同様の対策を継続するとしています。ますます市債(借金)を増やす一方で貯金を食いつぶすものであり、財政危機を拡大するだけです。
国の地方財政対策に対して、物言わぬ姿勢
 毎年の一般財源確保の対策として、国のすすめる「社会保障と税の一体改革」による財政政措置を求めています。これは消費税率の引き上げを含む庶民増税をすすめるものであり認められません。さらに、地方交付税の大幅削減が市財政危機の主要な要因であったことを認めながら、地方交付税の大幅拡大を求める確固とした姿勢は見えません。
ムダ遣いにこそメスを
 市民には負担増とサービスの切り捨てを求める一方、公共投資は抑制するとしながら、高速道路未着工3路線や焼却灰溶融施設については見直す方針はありません。
ご一緒に「行革」路線にストップをかけましょう
 日本共産党市会議員団は、住民福祉の増進に努めるという、地方自治体本来の役割発揮を求めて全力でがんばります。福祉を後退させ、市民生活に追い打ちをかける「行革」の強行を許さない運動を大きく広げましょう。今回の市民意見募集に対して、大いに声をあげていただくよう心から呼びかけます。