天ヶ瀬ダム、宇治川、向島地域の防災を考える集い 「天ヶ瀬ダム、宇治川、向島地域の防災を考える集い」が9日、伏見区の向島ニュータウン公団集会所で開催され、40人が参加しました。同集い実行委員会(藤木長晟実行委員長)が主催し、「伏見のまちづくりを考える・準備会」(田中敏博代表)が共催しました。
 藤木氏は挨拶で、集い開催にいたる経過を報告すると共に、「現在の宇治川・宇治川の状況は以前よりむしろ悪くなっており、東北大震災を受け、このとりくみを継続的なものにするため、防災も含めてこれからのまちづくりをどうすすめていくのかみなさん方と一緒に考えていきたい」と述べました。
 国土問題研究会の中川学事務局長が「宇治川天ヶ瀬ダム再開発事業の問題」をテーマにレジメとプロジェクターを駆使して講演。特に天ヶ瀬ダムの現況と宇治川流域の過去の大災害などについてふれました。その中で活断層の真上ある天ヶ瀬ダムの老朽化の進行と安全性、宇治平等院や宇治神社など世界遺産の景観破壊の問題、宇治川伏見地域の槙島堤防の安全性の問題、琵琶湖の環境問題などの概略を説明。また、天ヶ瀬ダムから宇治川への水量を倍加するための巨大なトンネル計画がいかに危険で無謀なのかについてデーターなどに基づいて報告しました。
 講演後のフリートークでは参加者から、昭和28年当時の向島をはじめ、巨掠干拓地の大水害の状況や宇治川以北での水害の経験、20数年前の干拓地の水害、宇治川堤防の土台地下はほとんどが砂礫や砂であり膨大な水量の水圧で地下から決壊する危険性や地震による液状化の危険性、宇治川2カ所の大ポンプ場の災害など活発な発言があいつぎました。
 最後に主催者から、伏見のまちづくりを住民自治の立場から考え継続的な運動にしていくことの重要性とその取り組みへの参加と協力呼びかけられました。多くの河川が合流し大きな災害に見舞われてきた伏見地域の住民が、3.11以降に防災意識と関心は大きく高めていることが示され、また今後の「伏見まちづくりを考える会」が正式に発足することが期待されるつどいになりました。(仲野良典)