“大地震と若狭湾原発群事故の同時進行でも複合災害のリスクはかなり少ない”、“琵琶湖の放射性物質は大量の湖水で薄まる”―こんな見解を、京都市防災対策総点検委員会が「中間報告」でまとめていることが分かり、市民、専門家から「原発事故への認識を疑う」と批判の声があがっています。

子どもの健康守れない

放射能から子どもを守る京都ママ・パパの会 野寄和佳さん

 京都から遠く離れている福島原発事故でも、たくさんのお母さんが放射能の被害に対して不安でいっぱいです。京都から近い福井県の原発事故の防災計画が、こんな対応でいいのでしょうか。本当に子どもたちの健康を守ることができるのかと疑問に思います。
 私は1歳の娘を育てています。原発事故後、少しでも離れようと、一時期京都から実家のある九州へ子どもと自主的に避難していました。今も野菜や食品はできるだけ放射能の被害がないものを考えて選ぶなど、すごく気をつけています。
 たくさんの人が福島やその周辺から避難されています。また東京や関東では、原発事故によって子どものための水や食品がなくなる事態が起こりました。もし防災計画を立てるのであれば、子どもや親を安全なところへ避難させることや水や食べ物を確保することなどを具体的に示してほしい。それが福島原発事故での教訓ではないでしょうか。

「中間報告」
 同総点検委員会は、東日本大震災・福島第1原発事故を受けて市防災計画を見直すため、行政関係者や学識経験者28人が参加して6月22日と8月29日の2回開催。第2回委員会で「中間報告」をまとめ、市に提出しました。
 中間報告は、「原子力発電所事故等に関する対応」について、「今後、京都市域で大規模地震が発生し、同時に若狭地域の原子力発電所で事故が起こって、福島第一原子力発電所で起こったような複合災害が起こるリスクはかなり少ないというのが、原子力の専門家の見方である」「琵琶湖の水の放射性物質による汚染に関しては、仮に琵琶湖方面へ放射性物質が飛散したとしても、琵琶湖の水量が非常に多いため、水中で希釈される」などとしています。(詳しくは「週刊しんぶん京都民報」2011年9月11日付)