東京電力福島第1原子力発電所の事故を受け、日本共産党は、「政府は、原発からの撤退を決断し、原発をゼロにする期限を決めたプログラムの策定を」と提唱、国民的運動を呼びかけています。原発問題、エネルギー政策についての府民各層の主張・提言をシリーズで紹介します。

選択を世界に示そう

 福島第1原発の事故を受け、環境市民団体である「気候ネットワーク」は先月、「原発からの脱却で温暖化対策強化を」スローガンにした緊急提言「“3つの25”は達成可能だ」を発表しました。
 これまで、政府は、原発と石炭火力発電を両輪にエネルギー政策を進めてきました。その結果、省エネや再生可能エネルギーの拡大の機会を奪い、日本の温暖化対策をゆがめてきました。原発事故を機に、原発依存からの脱却こそ、日本に求められている命題です。
 ところが、産業界や経済産業省からは、「原発停止を石炭火力発電で代替しよう」、「そのためには政府目標の温室効果ガス25%削減目標を見直すべき」との声が聞こえ始めました。到底容認できない選択です。
 「提言」では、政府の打ち出した「使用電力25%削減」とともに「温室効果ガス25%削減」「再生可能エネルギー電力25%」の“3つの25”は、同時達成可能であることを主張しました。原発について▽新設計画は全て中止▽運転開始後40年を経過したものは順次停止▽それ以外でも地震の影響の懸念のあるものは廃炉にする│という目標を掲げました。
 日本共産党が政府に対して、原発ゼロへのプログラム策定や再生可能エネルギーへの大転換を要求していると聞きました。私たちの立場と基本的に同じです。
 政府の考える一時的な計画停電やピークカット対応としての削減ではなく、再生可能エネルギーの拡大を中長期的に導くための電力買い取り制度強化や、省エネ社会へと構造的転換を図っていくことが必要です。
 原子力の危険も温暖化の危険も、生命にとりかえしのつかない被害を与える点や、必要な対策の点で共通しています。今回の甚大な犠牲に応える私たちの選択を世界に示していきましょう。(「週刊しんぶん京都民報」2011年5月22日付掲載)
「原発からの撤退を求める署名」用紙ダウンロード(10kb)