米艦「シャイロー」入港抗議 安保破棄京都実行委員会など12団体は11月29日、京都府知事に対し、舞鶴港への米第7艦隊所属のミサイル巡洋艦「シャイロー」(10900トン)の入港に抗議し、「府は直ちに米艦の出港を命じよ」と申し入れました。
 申し入れは、入港してきた米艦船は、米韓合同軍事演習に参加と報じられているなかで、「親善・友好」とする入港目的の疑義を指摘し、日本海と舞鶴港を軍事演習に使用することは断じて許せないと抗議しました。
 対応した京都府危機管理・防災課の早川喜代司参事は、「国が係わる外交・防衛問題」とし、これまで同様、府の管理責任を放棄する姿勢に終始しました。さらに、核兵器の持ち込みについては、「外務省から『事前協議がないこと、核兵器は積載していないと信じる』との回答を得た」としています。
 米韓合同軍事演習は、北朝鮮や中国との軍事的緊張が続くなかで実施されており、その期間中に、米第7艦隊の中枢に位置する、ミサイル・イージス巡洋艦の舞鶴入港が「親善・友好」とは口実にすぎないことは明らかであり、「ただただ入港を容認する」府の対応を厳しく批判しました。
 申し入れ団体は12団体。安保破棄京都実行委員会、京都自治労連、京都府立高教組、日本共産党京都府委員会の代表が参加し、京都教職員組合、京都宗教者平和協議会、京滋キリスト者平和の会、京都立正平和の会、京都退職教職員の会、京都原水協、京都平和委員会、日朝協会京都府連合会の各団体が申し入れ書を提出しました。(田中三郎)

 申し入れ書は以下の通り。


2010年11月29日
米艦入港についての申し入れ書
京都府知事 山田啓二 殿

安保破棄京都実行委員会

 11月29日から12月2日と12月6日に、舞鶴港への米艦入港が計画されています。
 私たちは、舞鶴港を米軍の軍事拠点とするような軍港への変貌を許すことはできません。
 舞鶴港の管理責任を有する京都府知事が、米艦船の入港を拒否し、直ちに出港を命ずることを強く要求します。
 入港する艦艇は、米第7艦隊所属のミサイル巡洋艦「シャイロー」で、1996年と2003年にはイラク作戦で巡航ミサイルトマホークを発射した艦船です。さらに、弾道ミサイルの探知・追尾が可能な高性能レーダーを持つイージス艦として改造され、2006年に横須賀に配備されたものです。
 11月26日、北海道新聞が配信した記事によると、「【ソウル共同】米韓両軍は28日から4日間の日程で、韓国西方の黄海で米原子力空母ジョージ・ワシントン(約9万7千トン)やイージス艦などを投入した合同軍事演習を実施する。・・・・・在韓米軍によると、今回はイージス艦フィッツジェラルド、同シャイロー、同ステザムなどが参加。」と報じています。
 米艦船シャイローの舞鶴入港にあたって、入港目的が「親善・友好」とされていますが、同艦が米韓合同軍事演習に参加している中での入港であり看過することはできません。それは、空母とは共に行動しない艦艇は、日本海など周辺海域にて「ミサイル防衛」「中国艦艇の監視」などの任務につくこととなり、米艦船シャイローは、舞鶴港を使用して米韓軍事演習を実施していることは明らかです。
 11月23日、北朝鮮による韓国延坪島(ヨンピョンド)への砲撃と言う許しがたい軍事的挑発行為が発生するなかで、解決の道は軍事的対抗ではなく外交的・政治的な力の発揮が求められています。
 その時に大規模な軍事演習を黄海及び日本海で実施することなどは、挑発行為を助長させるものとして到底認めることはできません。
 今回の演習は、憲法9条が禁じる「武力による威嚇」そのものであり、舞鶴港での自衛隊による米艦への協力や、市水道の提供やゴミ処理・物資補給など港湾の使用などは断じて許すことはできません。
 舞鶴港を、「鎮守府」として侵略戦争のための港にされた、痛恨の歴史を忘れてはなりません。
 日本海を平和の海に、舞鶴港を友好のかけ橋にすることは府民の大きな願いです。
 舞鶴港の管理責任者である京都府知事が、府民の生命と安全を守り、戦争への危険を拒否する立場を貫くならば、米艦船の入港を止めることができるのです。憲法と港湾法を厳守し、「米艦船は入港させない」と確固とした姿勢をつらぬくことを求め、合わせて以下の事項の解明を求めます。

  1. 核密約の存在を認めた現政権がいまだ密約廃棄を明言していない中で、府としては、核持ち込みを拒否する厳格な対応が求められていますが、どう対応したのか納得できる説明を求めます。
  2. 港湾法の遵守=入港届と入港を認める根拠、入港目的の疑義。
  3. 府民の安全確保=艦船に積載されている、武器・弾薬等の安全確認。
            米兵による事故・事件・犯罪の未然防止。
  4. 府民敵視の監視体制撤廃=米軍・自衛隊・警察などへの情報提供の撤廃、府民への情報公開。

以上